「カティンの森」   

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「カティンの森」

この映画、少し前に岩波ホールで上映されていた。
観ようか、止めておこうかずいぶん迷って、
結局止めた。


というのも、恐がりやの私が、最後まで目を逸らさずに見られるか、自信がなかったから。

そうしたところ、先日(10日)、「あっ」という悲劇が起きた。
ポーランドの大統領を乗せた政府専用機がロシアに墜落。
「カティンの森事件」の追悼式典に向かう途上で、墜落現場は「カティンの森」から、わずか20キロメートルの距離とか。

う~ん、なんか、因縁めいたものを感じる。
「やっぱり観ておかなきゃ」
で、きのう上映中の下高井戸シネマに足を運んだ。

カチンの森事件」とは、
第二次世界大戦中の1940年春、ロシア西部スモレンスク郊外の「カチンの森」で、ソ連の秘密警察が捕虜のポーランド軍将校ら2万人以上を虐殺した事件。
ソ連はナチスドイツの犯行だと主張したが、90年4月、当事のゴルバチョフ大統領がソ連の責任を認めた。
(読売新聞より。新聞は、「カティン」じゃなく「カチン」とある)


この事件、知ってた?恥ずかしながら、私はよく知らなかったよ。

1939年、ポーランド。
大勢の人々が橋の上ですれ違う場面から、映画は始まる。
ドイツ軍に西から追われる人々と、ソ連軍に東から追われる人々と。
この国の悲惨な運命を印象づけるような出だしだ。

映画は、虐殺された将校の家族側から描いたシーンが多い。
不安と絶望と深い悲しみの中にある、その妻や妹の美しいこと。
強く凛とした、美しさ。

最後の虐殺の場面も、目を逸らすことなく、ちゃんと見た。
おどろおどろした恐さはなく、これは実際に起きたことだという、悲しみの方が強い。
声高に反戦を訴えるでもなく静かな作りだが、真実の持つ重さと悲しさがジワジワと伝わってくる。

アンジェイ・ワイダ監督自身、父親をこの事件で失っている。
大戦終了後、ソ連の衛星国だったポーランドでは、「カティンの森」の真相に触れることはタブーだったらしい。
事件から長い年月を経たが、「これを描かずしては死ねない」という強い執念を監督は持ち続けていたのではないかなぁ~。

重い映画をお好きな方には、お奨めです~。
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by masayama-chan | 2010-04-14 19:01 | 映画三昧 | Comments(6)

Commented by としちゃん at 2010-04-14 19:57 x
「カチンの森」という名前だけは知っていたの。だから先日の墜落現場がカチンと聞いた時、何か関連があるのかなーと思っていたけれど、そうですか、ソ連が関係していた事件だったのね。1940年の事件だったのですか。知らなかったわ。
マサさんは、こういう映画もちゃんと見ていて偉いわね。
Commented by としちゃんへ(マサ) at 2010-04-14 23:31 x
私も、この映画で「カチンの森」のこと、勉強しました。
ソ連は、長いこと、ナチスドイツの犯行だと言い張ってきたのよね。第二次大戦終結後も、ソ連の影響下にあったポーランドは真相に触れようとしなかった。不幸なことですよね。国民にとって。
今回の墜落事故は、ポーランドの歴史に、また悲劇の1ページを追加しましたよね。
Commented by 真蘭 at 2010-04-15 22:50 x
「カティンの森」の翻訳者が友人の知り合いでした。
ポーランドと言う国はソ連とロシアに翻弄された
悲劇の国ですね。
大虐殺の遺族が、飛行機には乗っていたようです。
運命的な出来事ですね。
今年はショパン生誕200年の行事もあり、つい先日ポーランド大使館のレセプションに参加してきたばかりです。本は友人に勧められて読みましたが、映画は躊躇していました。
Commented by 真蘭さんへ(まさ) at 2010-04-16 19:03 x
そうですか。翻訳された方はお友だちの知り合いなのね。
さうが、真蘭さんはお顔が広いわ。大使館のレセプションに招待されたのも幅広く活躍していらっしゃるからでしょうね。

墜落事故はなにか呪われているような出来事でしたね。
映画は、目を覆いたくなるようなシーンもありましたが、「恐い」とか「気持ち悪い」とかで目を逸らしたら、真実を冒とくしているような気がしたの。
Commented by さと at 2010-04-17 23:05 x
この映画の解説が凄く心に残っています。
見てみたいと思っていたけどもう過ぎたのかな?どこかでやっているかしら?
墜落事故はほんとうに不幸な出来事でしたね。
監督の意思がこの映画には強く表れているのでしょうね。
Commented by さとさんへ(マサ) at 2010-04-18 20:25 x
そうそう、さとさんのブログでチラッと触れられていた気がするわ。
こうした真面目な映画は、観客動員が見込めないせいか、宣伝もしないし、上映する映画館も少ないんですよね。全国でも数えるほど。日本人には感心の薄い出来事なんでしょうか。ホントに残念です。

墜落事故は、偶然というにはあまりにも悲惨な事故でしたね。
「この地は呪われているのだろうか」と声を失った住民もいたそうです。

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