キャタピラー   

「忘れるな、これが戦争だ」

ついに、調布パルコで観てきた。
「キャタピラー」
かなりショッキングな映像であることは、予想していた。
でも、恐いもの見たさ?
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時は、第2次世界大戦真っ只中。
中国戦線から戻った男は、両手両足を失っていた。
顔は焼けただれ、耳は聞こえず、口も利けない。
沢山の勲章をもらい、周りから「生ける軍神」として崇められるが、家族の本音は、
「こんな体になって返されても……」

無残な姿になった夫を献身的に世話する妻・シゲ子(寺島しのぶ)
頭と胴体だけの肉塊と化しても、夫の食欲と性欲は尽きることがない。
「食べて、寝て、食べて、寝て、食べて、寝て」の繰り返しで、毎日が過ぎていく。

「軍神の妻」としての誇りに、かろうじて支えられながら生きるシゲ子。
でも、時に感情が爆発する。夫に怒りをぶちまけ、悪態を突く。
「殴りたいの?殴れるものなら殴んなさいよ!昔、私を殴ったみたいに殴んなさいよ!」

戦争の悲惨さを、ここまで惨たらしく描いた作品を、他に知らない。
でも、反戦のメッセージ性は、それほど強く感じなかった。
むしろ、夫婦の愛憎物語のよう。

かつては威張っていた夫と、従順で夫の暴力にも耐えた妻。
それが、夫が動けなくなり妻の介護なくしては生きられなくなると、次第に立場は逆転する。
やり場のない暮らしの苛立ちから、昔の仕打ちを思い出しては、夫に怒りをぶつけるのだ。
今の時代の介護地獄を見せつけられている気が、ちょっぴりしないでもない。

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食べて、寝て、食べて、寝て。
食糧難の時代に、夫は、妻の分まで欲しがる。




敗戦。
酷い最期(たぶん)を迎えた夫。
一方、妻の表情は、解放されたかのように明るい。

それにしても、寺島しのぶは凄い女優だ。
この役を、ここまで演じ切れる女優は、他に思い浮かばない。
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by masayama-chan | 2010-10-21 22:35 | 映画三昧 | Comments(8)

Commented by としちゃん at 2010-10-22 07:41 x
まぁ、ご覧になったのね。
私もパルコでやっているのはしっていたけれど、なんだかむごたらしいのを見るのはどうかと思って、躊躇していたのです。さすがマサさんね。
寺島しのぶのSEXシーンが強調されているみたいですけれど、それよりか夫役のほうが大変じゃないかなとも思うのだけれどどうなのかしら?
こういう夫婦、実際にかなりいたのでしょうね。
Commented by としちゃんへ(マサ) at 2010-10-22 22:47 x
確かに、夫役の役者の演技も凄かったわね。
四肢のない役だけど、まったくその通りにしか見えなかったわ。どうやって作ったんだろう。凄絶な演技だった。
とにかく、この映画の役者は、スゴイ。よくここまでやるよと思ったわ。
映画評論家の評価は、たぶん高い作品だと思うけど、あえてお奨めはしません。
Commented by maggy at 2010-10-23 01:40 x
えぇ!!マサさんも21日にキャタピラー??
私も、21日10:30~の調布パルコで、キャタピラー見てましたよ!
私は、期待していたものとちょっと違って、違和感を感じてしまいました。
夫が、四肢をなくした原因が情けない・・・勲章には値しないこと。そして、その罪の意識が夫を苦しめてゆくのは、当然のこと。この夫は、性欲のために、戦争に行く前は妻を殴り、戦争から負傷して帰ってきても、まだ、食欲性欲で、妻を攻める。情けない夫の映画にすぎない・・・それを、反戦に重ねて、物語に正当性を持たせている、滑稽な映画と思ってしまいました。

でも、寺島しのぶが、主演女優賞をとった映画ですから、素直に反戦映画であることを、認めてあげようか・・・。
せめて、四肢をなくした原因が、武勲に値するものであったなら、その後の夫の虚しさや、妻の苦しみや、その他の人々の滑稽な行動で、戦争の惨さを感じることができる。実際に、戦場に行った方はどのように感じたかなぁ・・・。

でも、妻は、夫の勲章は、武勲でなかったことを、薄々感じていることを表わしたのは、どうしてか・・・これも戦争の惨さか・・・。
ちょっと、捻くれている??
Commented by maggyさんへ(マサ) at 2010-10-23 22:51 x
まぁ、Maggyさんも調布パルコで観たんだ。
私は、火曜日(19日)に行ったの。中高年の女性が多かったけど、彼女たちも、「こんなはずでは……」と、思ったかもね。
彼の犯した野蛮な行為は何度もフラッシュバックで挿入されるけど、四肢を失ったのは果敢に戦った前線だったはずと、私は勝手に想像した。
いずれにしても高潔な人物でないことは確かで、そんな人間が勲章を貰い軍神と崇められる戦争の狂気と滑稽さを監督は描きたかったのだと思う。
反戦という意味では、エンドロールの元ちとせの歌の方に心打たれなぁ~。
好き嫌いは別にして、印象深い映画であることは確かね。
それから、今日はありがとう~。楽しいランチだったね~♪
Commented by さと at 2010-10-24 14:30 x
私にしては珍しく(苦笑)早く見たのね。
滅多に映画は行かないのにこれは見に行きました。
なんか複雑な心の中がもやもやした感じが見終わった後ありましたね。
寺島しのぶの演技は素晴らしいと思います。
でも戦闘シーンは古いフィルムで映し出されるだけだし
どうして四肢を失ったかは戦闘で・・とずっと思ってたんだけど違うの?
反戦映画には間違いないのでしょうが私は人間について考えさせられた映画でしたね。


Commented by さとさんへ(マサ) at 2010-10-24 16:24 x
そうそう、さとさんも観たとおっしゃってましたよね。
私も彼が四肢を失ったのは中国戦線での戦闘中だと思って観ていましたが、たぶん予算の少ない映画なので、そんなシーンは撮れないのよ。
繰り返し映しだされるのは、炎の中で中国女性に残虐な行為をする場面ばかりでしたよね。
この映画は、江戸川乱歩の「芋虫」をヒントにしているそうです。
芋虫=キャタピラー。よく考えると、あまり趣味のいいタイトルではないわね。内容も、ちょっとグロ(苦笑)
いい悪いの評価は、人によって分かれるでしょう。まぁ、私の好みではないけど、印象に残る作品ではありますね。
Commented by 紅蓮 at 2010-10-24 21:32 x
寺島しのぶさんは大好きな女優さんです。
ぜひ見てみたいけど、こういうの見ると、あとあとすごくひきずってしまうので、躊躇してしまいそうな内容ですね。映画って、どうしても楽しい方向にいってしまうのよね。
Commented by 紅蓮さんへ(マサ) at 2010-10-25 18:19 x
パルコでは、来週いっぱい上映してるみたいですよ。
寺島しのぶさんは思いっきりのいい凄い役者ですね。彼女がいなかったら、この映画は成立しなかったのでは。
でも、楽しい映画とは対極にある作品なので、あえてお奨めしないわ。

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