「ルイーサ」   

a0108328_20244617.jpgブエノスアイレスの都心のアパートで、愛猫のティノと暮らすルイーサ。60歳。

夫と娘を失った辛い過去をひきずりながらも、二つ仕事(霊園の電話番&スター女優ちの家政婦)を掛け持ちし、なんとか生活している。

ある雨の朝、ティノが死んだ。
同じ日に、30年勤めた霊園を解雇され、家政婦の仕事も失う。
退職金はもらえず、泣き面にハチ。踏んだり蹴ったりだ。

ティノを埋葬したくても、埋葬費用どころか、アパートの管理費や光熱費さえ払えず、生活が立ち行かないありさま。



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途方に暮れるルイーサ。

初めて乗った地下鉄で、思いついたのは、なんと、
「物乞い」!!
「背に腹は変えられない」とは、まさにこのことだ。



悲惨なストーリーながら、思わずクスッと笑える場面もある。
かけがえのない家族、愛猫、そして仕事と、すべてを失っても、なお逞しく生きようとするルイーサが、切なくいとおしい。

夫と娘とのかつての幸せな暮らしが、ルイーサの夢に度々現れる。
最愛の二人を失った理由は容易に想像できるが、映画では特に説明はされない。
(1976年のクーデターで成立した軍事独裁政権下では、3万人近い人が粛清されたという。)

ティノの骨を、夫と娘の墓の間に埋めるシーンで映画は終る。
愛した者の死は風化することなく、ルイーサの中で喪が明けることはないのかもしれない。
喪失と絶望を乗り越えて強く生きるのではなく、喪失と絶望の中でも人は生きるのだ。

下高井戸シネマで、3月4日まで上演中(映画館の回しものではありません)
日曜日だというのに、観客は多くなかった。
その中では、ルイーサと同年代の女性の姿が目立ったかな。
「ルイーサよりは幸せ」と、思ったかどうか。
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by masayama-chan | 2011-02-27 20:33 | 映画三昧 | Comments(4)

Commented by としちゃん at 2011-02-28 07:55 x
やるせない映画ですね。
私がこの主人公だったらどうしたかしらと思わずには
いられませんね。
ブエノスアイレスには1978年ころ行きました。
アルゼンチンタンゴの切ない音楽が聞こえるような映画ですね。
Commented by としちゃんへ(マサ) at 2011-02-28 20:03 x
まぁ、軍事政権下のブエノスアイレスに行かれたのね。軍事政権は7年くらい続いたそうですが、そのころはどうでしたか。

ルイーサがもう少し若かったら、女性の武器ともいえる手段(汗)があったかもしれないけど、客観的に見ると、60歳って老いが偲び寄っている歳なんですね。

Commented by 真蘭 at 2011-03-02 14:30 x
平和な時代に生れて、それなりに豊かな生活を
していると、ルイーサの悲しみは理解できないかも。

としちゃんへのコメントを読んで思わず「クスッ」と
私ならどうするか?
物乞いは出来ないし、勿論女性の武器は錆びてるし 笑
やっぱり、物乞い?それとも墓の前で餓死するか、、、、!
切ないわね。
Commented by 真蘭さんへ(マサ) at 2011-03-02 18:30 x
真蘭さんは錆びてなんかいないから、まだまだ大丈夫だと思いますよ(笑)

う~ん、私ならどうするでしょうね。
管理費や光熱費を滞納していても、とりあえず住むところはあるわけだから、役所に行って生活保護の申請をしましょうか。
なんか、つまらない発想だわね(苦笑)

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