ヤコブへの手紙   

火曜日、下高井戸シネマで、「ヤコブへの手紙」を観てきた。
心に深く染みる、静かで切ない映画だった。
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1970年代のフィンランド。白樺に囲まれた片田舎の古い家が舞台だ。
登場人物は、わずか3人。盲目の年老いた牧師ヤコブ。終身刑ながら恩赦で刑務所を出所したレイラ。そして、郵便配達人。
盲目の牧師ヤコブは、郵便配達人から届けられる手紙を毎日心待ちにしていた。
悩める人々からの相談の手紙だ。
手紙を読み、ヤコブの返事を代筆するのが、住み込みのレイラの仕事。
でも、彼女はこの仕事がちっとも好きになれず、手紙の一部を捨てたりしていた。
レイラは、若くも美しくもなく、ふてぶてしく無愛想で、ムショ帰りの太った中年女だ。

やがて、毎日きていた手紙がパッタリ届けられなくなる。
悩める人々への返事を書くのが生きがいだったヤコブはすっかり気落ちし、
「もう、誰の役にも立たない」と、悲しむ。
両手で顔を覆い悲しむヤコブを見て、私も悲しくなり、切なさで涙がこぼれた。
年老いて誰の役にも立たないと悟ったとき、人は何を糧に生きていったらいいのだろう。

レイラも、重い過去を背負い、生きることに絶望していた。
終盤、「私は赦されますか」と、涙でヤコブに問うシーンでは、涙が止まらなかった。

悲しい結末だ。それでも、一度は死のうとしたレイラに再生の予感がしたのが救いだ。
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by masayama-chan | 2011-06-03 23:22 | 映画三昧 | Comments(2)

Commented by ひょっこり at 2011-06-05 16:02 x
 おお!マサさんが映画を観ていた日、私も映画を観ていたんだわ~。マサさんの方は人間の深淵を問う映画だけれど・・・私はぐっとわかりやすく「岳」です。
 下高井戸シネマって、玄人好みっていうか硬派なものを上映するところですよね。
「誰の役にもたたなくなったら・・・」フ~ム、まだ考えたこともないけれど・・・役にたたなくなったら、せめて迷惑だけかけなければいいかあくらいで(汗)
 それにしてもなぜ突然手紙がぱったり来なくなったのかしら?レイラのせい?レイラの重い過去ってなんだ?気になる、気になる。だったら下高井戸シネマに行きなさいってことになりますかね(笑)
Commented by ひょっこりさんへ(マサ) at 2011-06-05 23:04 x
ひょっこりさん、そうなの、そうなの。下高井戸シネマは、儲かりそうもない地味な、でもとっても味わい深い映画を上映してくれます。
生まれ変わったら、私は下高井戸シネマの副支配人になりたい。

なぜ手紙がパッタリ来なくなったのか、本当のところはわからなかった。
郵便配達人の仕業か?彼はレイラのことを嫌っていたというか恐れていたから、彼女に近づきたくなくて配達しなかったんじゃないか。それも、ちょっと短絡的かな。

レイラの重い過去ね。終身刑だったレイラは、重大な過ちを犯しています。でも、果たしてそれは過ちといえるのか。
この続きは、下高井戸シネマで(笑)
今週いっぱい上映していますので、都合がつけばぜひ。
あまり空いていると、そのうち潰れるんじゃないかと、心配なの。一人でも下高井戸シネマファンを増やしたいわ。

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