家族X   

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「主婦という存在の不確かさと危うさ」

先週、渋谷のユーロスペースで、
「家族X」を観てきた。



平凡な専業主婦の日常を、ドキュメンタリーのように淡々と描きながら、主婦の一挙一動を仔細に捉えるカメラ目線は、どこか残酷でもある。

東京郊外の新興住宅地。
そこに暮らす路子(南果歩)は、潔癖な専業主婦だ。
常に寸分の狂いもなく整えられたテーブル。
入念にアイロンがかけられた夫のワイシャツ。
庭の植木への水遣りも怠りなく、綺麗に掃除された部屋には、塵ひとつ落ちていない。
そして毎日、路子は黙々と夕食を用意し、食卓に並べる。

でも、帰りの遅い夫と、昼夜逆転のアルバイト生活を送る息子は、用意された食事を食べることがない。
会話のない家庭は、不気味なまでに静かな空間だ。
説明のつかない空虚さと孤独感を抱え、路子は次第に心のバランスを崩し、精神に変調をきたしていく。

一方、家でも会社でも存在感を示せない夫は、行き場を失いかけている。
リストラの影に怯え、コーヒーショップで密かにパソコンの指南書を紐解くが、うまくはいかない。
大学を出たものの定職に就けないフリーターの息子は、肉体労働のアルバイトで汗を流している。

それぞれが、もがきながらも、なんとかしようと懸命なのに、どうしてこんなに生きにくいのだろう。

「家族X」は、今の日本では、実はありふれた家族の構図なのかもしれない。
そのリアリティさは、ある意味、ホラー映画よりも恐い。

ラストシーンにわずかな光が見えたのが、救いだ。

** 観客は、5人でした!
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by masayama-chan | 2011-10-26 18:13 | 映画三昧 | Comments(6)

Commented by としちゃん at 2011-10-26 18:36 x
あのユーロスペースに5人の観客ですか。それもちょっと怖いな。
こういう映画ってなんだか救いがないんですけれど、ラストは少しは希望が見えるわけね。そうでないと、なんのためにこういう映画を作ったのか理由がないですものね。
南果歩って渡辺謙の奥さんでしたっけ?
Commented by さと at 2011-10-26 21:25 x
私も昨日映画を見てきました。
「ツレがうつになりまして」という映画です、10人ほどでした。。。
さすがの演技のうまい二人でしたが内容は重くとらえれば難しいと思うし映画って表現の仕方ですごく変わりますね。
感想を書くのは難しいからパスかなぁ??

南果歩さんて素敵な人でしょう、興味あり(笑)
有名人の旦那様を二人もゲットするなんて女性的魅力大いにありという感じなのでしょうね?
Commented by としちゃんへ(マサ) at 2011-10-26 22:38 x
そうですよ~。今のダンナさんは、大スター渡辺謙さんです。前のダンナは、作家の辻仁成ですよね。

としちゃんに呆れられそうで書かなかったのだけど、実はまた道を間違えたの。
今回は、気付くとパルコの前だった。あれ?って、急いで駅まで戻ったの。
何とか、間に合ったけど、自分で自分がつくづく嫌になったわ。
こんな私だけど、見捨てないでね(笑)
Commented by さとさんへ(マサ) at 2011-10-26 22:48 x
さとさん、最近映画づいているじゃありませんか。
「ツレ」は、去年NHKで藤原紀香主演で放送されました。
確かに、重い題材ではありますよね。でもそこは原作がコミックだから、深刻になりすぎずにコミカルに描かれていたわ。

前のダンナは作家で、今のダンナはハリウッドスターでもある謙さん。
この映画を見る限り、スッピンの素顔はちっともキレイじゃないと思ったけど(失礼!)、きっと魅力のある女性なんでしょうね。
Commented by ひょっこり at 2011-10-27 23:51 x
 マサさん、5人?残り4人の顔ぶれが気になるよ~(笑)わずかな光がなにか気になるけれど・・・。

 私ね、実は数年前「夫は今日も黙々と本を読んでいる、そして目の前に食事が出されると本を箸に替え黙々と食べ」なんて書き出しで始まる短編でも書こうかとマジに思ったことがあるの。もちろんあとが続かないから辞めたさ~(汗)鬱になりかけてたいたのかも?
 でもこの映画の主人公の気持ち、身につまされる主婦ってあんがい居ると思う。しんどいから私は観ないかな? ちょっとシリアスなこと書いちまいましたね。

 ところで南果歩さん、ずるいよね。2度の結婚で芥川賞作家とハリウッド俳優だもの。私、老後は贅沢言いません、いっしょに和める、散歩できる、そんな人をそばにおきたいナ、ウン?それって犬かしら?ハハ。 
Commented by ひょっこりさんへ(マサ) at 2011-10-28 18:33 x
ひょっこりさん、ハッキリ言うと、それは犬です(笑)
猫は、一緒に散歩してくれないものね。
私は、散歩中、チェリーと取りとめのない会話をしますよ。ハイ。
「チェリー、だいぶさぶくなってきたね」「ワン」
「チェリー、見てごらん。夕日がキレイキレイだよ」「ワンワン」

溜め込んでいた感情が一気に爆発し衝動的に家を出て彷徨う妻を、夫が探して家に連れ戻すところで映画は終るの。
夫が職場で居場所を見つけることはなさそうだし、息子はずっとアルバイト生活かもしれないけど、家族再生の光はちょっと見えた気がしたわ。

ひょっこりさん、その短編、読んでみたい!ぜひ再挑戦してください!
でも、ご主人は9時前におやすみになるからいいじゃない。
ウチも9時に寝てくれたら、気になっているドラマが見られるんだけどね。←ここだけの話。

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