「愛に乱暴」
2013年 12月 11日
なかなか、いやとても面白かった。
主人公・初瀬桃子は、結婚8年目の主婦。
椿の生垣がある広い(たぶん)屋敷の離れに、夫と2人で暮らしている。
母屋は義父母の住まいだ。
恵まれた暮らしに見えるが、姑とは心が通い合わず、夫は若い女と不倫をしている。
ここまではありふれた設定。
でも、吉田修一さんの小説が、嫁姑問題や不倫の話で終わるわけがない。
ある日、桃子は6畳間の畳の向きが気になり、奇妙な衝動に突き動かされる。
畳を捲りあげ、床板を剥がしたくなったのだ。
衝動を抑えられない彼女は、スーパーでチェーンソーを手に入れ……。
なぜか「パレード」を思い出した。
不可解で不気味な彼女の行動は、「パレード」の中の一人に通じるものがある気がして。
ごく普通の人が併せ持つ得体の知れない不気味さだ。
根底にあるのは心にくすぶる「怒り」かもしれない。
「ありがとう。……ありがとうと言ってくれて、本当にありがとう」
こんなセリフで終わる。ちょっと拍子抜け。でも、ほっとした。
桃子は、狂ってなどいないのだと。
チェーンソーとはどんなものか気になって、調べてみた。
これで桃子は、畳の下の床板を切り抜くのだ(同じタイプかわからないけど)
そして、床板の下の土をスコップで堀り、ビニール袋(45ℓ入り)に入れる。何袋も、何袋も。
by masayama-chan | 2013-12-11 22:31 | Comments(3)
吉田修一さんって「悪人」を書いた人ですよね。
そのうちにこの小説も映画化されそうじゃないですか。ヒロインは誰がいいでしょうね?
今年真木洋子主演で映画化された「さよなら渓谷」もよかったわ。
ヒロインは、ちょっと若いけど満島ひかりとか。精神のバランスを崩しそうな雰囲気があるわよね。中谷美紀はどうかな。
ただ、桃子は美しくて聡明な女性だと思うから、私の一押しは
松たかこです。
「夢売るふたり」を見て以来、女の業とか嫉妬を美しい顔の下で演じられる女優だなぁと関心しているの。彼女は怖いです。