「夏の終り」
2014年 01月 25日
瀬戸内寂聴が、瀬戸内晴美時代の1962年に発表した小説が原作だ。
主人公・知子(満島ひかり)は、かつて夫と子供を捨て年下の青年・涼太(綾野剛)と駆け落ちした過去を持つ。
今は、家庭のある年上の作家・慎吾(小林薫)と暮らしている。
慎吾は、妻子のいる家と知子の家を行ったり来たり。律儀に半々ずつ。
8年に及ぶ慎吾とのそんな生活に不満はなかったはずなのに、ある日知子の前に涼太が姿を現したことから、心が乱れていく。
穏やかな年上の男と、激しい感情をぶつける年下の男。
ふたりの男の間で、心揺れる女。
小説は瀬戸内晴美の自伝的要素が濃いという。
慎吾は、やさしく寛容で穏やか。でも優柔不断でずるくもある。
そんな男を小林薫が、この役は彼以外には考えられないほど自然に演じている。
嫉妬に苦しみ激情をむきだしに知子を求める一途な綾野剛もいい。
満島ひかりは、ふたりの男との関係に惑い苦悩する知子を、激しく生々しく好演している。
ただ残念なのは、満島さん、いかにも若過ぎでは。知子は、たぶん40歳くらいの設定のはずだ。
物語は現在と過去が交錯する形で進行するが、見ていて過去か現在か、時々わからなくなる。だって、どちらの満島さん(知子)も若いのだから。
熱さに身を委ねた「夏の終り」は淋しい。でも、終わらせなければ、前には進めない。
爛れた三角関係を描いていても、終わりは案外スッキリだ。
by masayama-chan | 2014-01-25 17:23 | 映画三昧 | Comments(8)
小林薫の小杉慎吾は良いですか。私はテレビで阿部寛・宮沢りえ、涼太が勘九郎というのを見て、あれがとても印象に残っているので、映画は遠慮してしまいました。 下高井戸という場所にすでに気持ちがそがれてしまったのかもしれないけど(汗)
この頃の寂聴さんはほんとに筆が乗ってたと思います。
あっ、私今月中に「小さなおうち」観ようかなと・・・。
小杉慎吾は小林薫しか考えられないわ。ひょこりさんには悪いけど、阿部寛では生きることに疲れたようなショボさに欠ける気がするの。
瀬戸内さんの小説では、「まどう」とか「こころ」が好き。最近の作品は読んでいませんね。
「小さなおうち」、私も絶対観たい。子守りの合間を縫って、来週あたり観に行こうっと。
小林薫は好きですね。前に「こころ」だったかを見たときも、いい役者だと思いました。
「小さいおうち」も見たいけれど、松たか子がどうもね・・・。
綾野剛は、雰囲気からいって、適役だと思いした。
でも、夫の教え子だと、かなり年の差があるけど、たしかに、この写真の浦島みつるさんだと、最初に家を出たころの年齢にしか見えませんね。再び主人公を訪れた時には、ずいぶん年数がたっているので、もっと年とっているわよね。「爛」は読んでいません。
この映画の監督も、「慎吾役は小林薫しかいない」と思ったとか。
彼の映画で一番印象に残っているのは、何年前に下高井戸シネマでみた「休暇」です。
西島秀俊が死刑囚の役で、死刑執行にあたった刑務所の看守役が小林薫。
タイトルの「休暇」は、意味深いんです。観終わったあと腑に落ちました。
我が子を置いて駆け落ちまでしたのに、わりと早く別れてしまいましたよね。
瀬戸内さんの小説に、尊敬に値する立派な男はあまり出てきませんね。
小説を読んだのはかなり昔なので内容はほとんど忘れてしまったけど、暑い中を慎吾の家に妻を訪ねるシーンでは、「こんな場面が確かにあったわ」と思いました。
30年代の風景、街並みや家の中や服装などを懐かしく感じながら観ました。
私も昔ファンでたくさん瀬戸内晴美さんの本を読みました。
関西でもやってるのかな?私も見てみたいわ。
満島ひかりさんもこの頃売れてますね、将来が楽しみ♪
とはいえ、女盛り?で出家したのは相当な覚悟と強い思いがあったからでしょう。
出家前の長い髪をアップにした着物姿の瀬戸内晴美さんは、けっこう色っぽかったですものね。
この映画もだけど、興行的な成功を見込めない(つまり稼げない)映画は上映館が限られているんですよね。
昨夏に公開されたのだけど、その時は見逃しました。見逃したと思った映画が、忘れたころにやってくるのが下高井戸シネマです。さとさんの近くでも、そんな映画館があるかな。
満島ひかりさん、ほんとうに最近引っ張りダコですね。
キレイな女優さんはたくさんいるけど、満島さんほど陰影のある若手女優は少ないですものね。