「私の男」   

昨日、府中の映画館で「私の男」を観た。
桜庭一樹の直木賞受賞作品だ。
何年か前に原作を読んだ時の衝撃が、暗い館内で生々しく蘇った。

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奥尻島を襲った大地震による津波で家族を失った花(山田望叶、のちに二階堂ふみ)。
孤児となった10歳の花を、遠い親戚と名乗る男・腐野淳悟(浅野忠信)が引き取ることから、物語は始まる。

雪に閉ざされた北海道紋別で、寄り添うように暮らすふたり。誰にも言えない秘密を抱えて。

花を見守ってきた遠縁の大塩(藤竜也)は、ふたりの関係に気付き、花を淳悟から引き離そうと諭す。
流氷の上を逃げるように走る花。
「花ちゃん~、危ないよ。戻りなさい」と追う大塩に、花は叫ぶ。
「知ってたよ。本当のおとうさんだって。どこがいけない!!」

やがて冷たい海から大塩の遺体が発見され、淳悟と花は逃げるように東京へ。
東京での第2の殺人事件は、まるでホラーだ。
血を舐めるような、ふたりの濃密な関係は、もっとホラーかもしれない。

原作は、確か、銀座で花が淳悟を待つ場面から始まる。
雨の中、赤い傘をさしてやってくる「私の男」。
映画は、その直後の、花の婚約者との会食のシーンで唐突に終わる。余韻を残して。

浅野忠信は、インモラルな男を演じてピッタリはまっている。
二階堂ふみは、「やっぱり宮崎あおいに似ている」と思ってしまった。
でも、あおいちゃんには、この役はきっとムリでしょう。
純粋ゆえに不道徳な少女の、「フッフッ」という低く不気味な笑いが耳から離れない。
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by masayama-chan | 2014-06-20 23:25 | 映画三昧 | Comments(2)

Commented by としちゃん at 2014-06-22 08:50 x
今朝のラジオでこの映画の評をしていました。二階堂ふみという子がすごいと。実年齢は19歳なのに、15歳から25歳くらいまでを演じて、ダサい女の子が色っぽくなっていくところが素晴らしいとのことでした。
かなり暗いお話のようですが、私はどうもお金を払ってみる映画は、見た後に楽しくなるような映画がいいなと思ってしまうのですが、どうかしら。
Commented by としちゃんへ(マサ) at 2014-06-22 16:23 x
2年ほど前に「ヒミズ」を見たとき、ずいぶん迫力のある女の子だと思ったのが、二階堂ふみ。女優としてブレイクする片鱗は見えました。
はっきり言って、美形ではありませんね。後半はかなりメイクしているけど、ダサい女の子時代の方が断然魅力的です。
私は、最近、キレイとか楽しい映画は物足りないのよ(苦笑)

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