「恋人たち」   

先週、下高井戸シネマで「恋人たち」を観た。
2015年「キネマ旬報ベスト・テン」の日本映画第一位に輝いたほか、「毎日映画コンクール」の日本映画大賞も受賞した作品だ。


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昨秋の公開時(於テアトル新宿)には見逃してしまったので、今回私の好きな下高井戸シネマで観ることが出来で本当にラッキーだった。
こういうのを小さな幸せというのかなぁ。

主人公は3人。
3年前、通り魔によって妻を殺されたアツシ。弁当屋で働く主婦の瞳子。エリート弁護士の四ノ宮。
それぞれがそれぞれの事情を抱えている。
アツシは橋梁点検の仕事をしているが、妻を失った喪失感と悲しみから抜け出せない。
損害賠償請求の訴訟を起こそうと奔走するも、気持ちの面でも経済的にも追いつめられていく。

主婦の瞳子は、夫と姑の3人暮らし。
そりの合わない姑、家族に無関心で覇気のない夫。
姑と夫に気遣い、無難に家事をこなしながら、諦めたような人生を惰性で生きている。
平凡な主婦の日常が、あまりにもリアルで生々しく描かれている。
そんな瞳子の前に現れたのが、弁当屋の取引先である肉屋の弘。
瞳子は弘に魅かれ将来を託そうとするが、弘は危険な男だった。

一方、エリート弁護士の四ノ宮はゲイ。
自分を理解してくれていたはずの大学時代の親友に、思わぬ疑いをかけられて困惑し、焦燥感にかられる。

アツシと四ノ宮が、弁護士と客の関係であるのが後半になってわかるが、それ以外に3人の接点はない。
共通しているのは、自身の人生の生きにくさか。

瞳子は、弘の恐ろしい実態を見て目を覚まし、退屈な日常に戻っていく。
そこにしか、自分の居場所も未来もないのだ。
アツシは職場の同僚たちとのふれあいの中で、絶望的な悲しみから少しでも立ち直ることができるのだろうか。
アツシが同僚と橋梁点検へ向かうボートの遥か上に、青空が広がっていた。
ボートから見上げる切り取られた青空だけど、かすかな希望を予感させ、ほっとした。

光石研、木野花、安藤玉恵といった脇を固める俳優たちの巧みさに比べ、主人公3人の演技は素人っぽい。
それが、リアルさを増している。
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by masayama-chan | 2016-03-13 21:01 | 映画三昧 | Comments(0)

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