「セールスマン」   

昨日、新宿のシネマカリテで「セールスマン」を観た。

今年のアカデミー賞で、外国語映画賞を受賞したイラン・仏映画だ。

監督と主演女優が、トランプ政権の入国制限命令に抗議して授賞式への参加をボイコットしたことでも話題となった。
                                               

シネマカリテへの階段

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イランの首都テヘラン。

国語教師の夫・エマッドと妻・ラナが暮らすアパートは、隣接地の建設工事のせいで倒壊の危機に……。

友人に紹介され移り住んだアパートで、悲劇は起きる。

夫の留守中に、ラナが暴漢に襲われてしまうのだ。
                                          


お国柄でしょうか、暴行のシーンがあるわけではない。
観客は、会話や状況から想像をたくましくするだけだ。
                                          

表沙汰にしたくないゆえに警察への通報を拒む妻。

一方、夫は復讐に燃え、自力で犯人を探し出そうとする。

そっとしておいて欲しい妻と、行動を起こす夫。

2人の気持ちはすれ違い、不協和音を生む。
                                               

夫が追い詰めた犯人は、想像もできないような人物だった。

そして終盤、予想外の展開に。

悲劇的な結末と言えなくもないが、果たしてそう言い切っていいのやら。                                            「心理サスペンス」と予告にはあるが、私には妻の心根のやさしさが印象に残った。
                                             

タイトルの「セールスマン」は映画の内容に即さないのでは?と思われそうだが、これには仕掛けがある。

夫婦は、小さな劇団に所属していて、ちょうどアーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」の舞台に立っている。

夫は老セールスマン、妻はセールスマンの妻の役だ。
                                         

ファルハディ監督によると、「時代の変化に取り残された戯曲の主人公の境遇を、急速に近代化が進むイランの社会状況に重ね合わせた」

ふむ、奥が深い。

言われてみれば、事の初めのアパートの倒壊危機も、近代化を急ぐ側面と、そこからはじき出される人々を描いて暗示的だ。
                                           


シネマカリテで映画を観たのは初めて。

新宿東南口から徒歩2分。さすがに迷わないで行けた(笑)

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小さいけど、素敵な映画館だった。

座席はゆったりとしていて、座り心地がよく、おしゃべりしている人もいない。

静かに映画を鑑賞するのには、最高の劇場だ。


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by masayama-chan | 2017-06-28 15:53 | 映画三昧 | Comments(0)

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