「海辺の生と死」
2017年 08月 09日
昨日、テアトル新宿で「海辺の生と死」を観た。
原作は、島尾敏雄の短編小説「島の果て」と、妻ミホの小説「海辺の生と死」。
あの「死の棘」の夫婦の出会いを、抒情豊かに描いた作品である。
第2次世界大戦末期、奄美群島の加計呂間島で、朔(島尾敏雄がモデル)とトエ(ミホがモデル)は出会う。
トエは国民学校の教師。
朔(さく)は、島に赴任してきた海軍特攻艇部隊の隊長。
死を覚悟した極限の状況の中で、ふたりは惹かれ合い、逢瀬を重ねる。
特攻戦の命が下された8月13日の夜、トエは頭から水を被って身を清め、死装束を身にまとって浜辺へ向かう。
朔の出撃を見届けたあと、岸に立ち喉に短剣を突いて自決するつもりでいた。
だが、出撃を前にして、終戦。
映画はここで終わるが、死をもって終わるはずだった2人の恋の行く末は、「死の棘」で私たちが知るとおりだ。
島の景色も言葉も唄も、民話?のように叙情的でのどかだ。
集団自決のための穴を掘る島民の表情も、なぜか悲壮には見えない。
それだけ死は身近だったのかもしれない。
トエに満島ひかり、朔隊長に永山絢斗が扮している。
若き特攻艇隊長の複雑な心理を演じた永山絢斗も魅力的が、満島ひかりの演技は圧巻。
「トエ役にはこの人をおいていない」と思わせる。
一途なひたむきさは、その後夫の情事により正気を失い精神に異常をきたすミホを連想させなくもなかった。
偶然にも、今図書館で借りてきた「狂うひと」を読んでいる。
梯久美子による島尾ミホの評伝だ。
650ページを超える大作で、明後日返却期限だというのに、まだ50ページくらいしか読んでいない(汗)
表紙の写真は、敏雄と出会ったころのミホ。
キレイな人でしたね。
by masayama-chan | 2017-08-09 21:15 | 映画三昧 | Comments(2)
この映画も良さそうですね。っていいますか、マサさんは映画のチョイスに鼻が利きますね(失礼!)
「ジャッキー」は地元でやっていないので検索したら、「早稲田松竹」で来週からと分かり今から楽しみにしているところです。で、その「早稲田松竹」では、何と今週、ヴィスコンティの映画2編を上映中と分かり、昨日出かけてきました。「若者のすべて」と「家族の肖像」の二本立てで、10:40~16:00までの長丁場でしたが、独特の世界に浸ってまいりました。アランドロンの若きころの姿や、CCことクラウディア・カルディナーレの存在感も、ン十年ぶりに味わいました。
二本立てで¥900というのも画期的?なお値段でしたし、レトロな映画館がまた素敵でした。高井戸シネマもきっと雰囲気あるのでしょうね~。
マサさんの映画、読書情報、今後とも楽しみにさせて頂きます! (健康診断で要検査を指摘され今その結果待ちで少々ザワザワしてますが映画で気分を変えられました。笑)
まぁ、2本立てで900円ですか(驚)
私たちの若いころは、2本立てとか3本立ての、いわゆる名画座があちこちにありましたが、最近は見かけないですよね。
下高井戸シネマでも、フェデリコ・フェリーニとかヴィスコンティなどの、巨匠の作品の特集が組まれる週がたまにあります。
そういえば少し前に「家族の肖像」を上映していたような。
とても好きな映画館ですが、映画館自体は狭くて、そう素敵ではありません(苦笑)
予告編で観た「幼な子、われらに生まれ」が面白そうなので、またテアトル新宿に行こうかなと思っています。
「ジャッキー」、楽しめますように。
健康診断の結果、問題ないといいですね。
私は、来週15日に誕生日健診を受ける予定です。うっかりしていましたが、終戦記念日ですね。