「狂うひと」
2017年 08月 10日
昨日のブログにも書いたけど、先日図書館で借りてきた「狂うひと」を読んでいる。
(副題:「死の棘」の妻 島尾ミホ)
作者は、ノンフィクション作家の梯久美子。
昨年度の読売文学賞の評論・伝記賞を授賞した作品だ。
だいぶ前に図書館に予約を入れていたのだが、すっかり忘れたころに回って来た。
予想外の666ページという厚さに圧倒され読む気を失っていたが、おととい観た映画の原作者が島尾ミホという偶然。俄然興味が湧いた。
だが、時すでに遅し。明日、返却しなくてはいけない(惜)
第一章の「戦時下の恋」を読み終えるのが、精一杯か。
「戦時下の恋」の話は、映画そのまんまだ。
-序章「死の棘」の妻の場合-
「そのとき私は、けものになりました」で、本は始まっている。
梯さんの取材に応じた晩年のミホの言葉だ。
けものになったのは、昭和29年9月、夫の日記を見たとき。
日記には他の女性との情事が綴られていた。
髪を逆立て、うなり声をあげ、四つ這いで畳の上を這いまわる。
ゥワァァ--ッと、まるでライオンのように。
正気を失ったミホは、そのときから家事も育児も放棄し、昼夜の区別なくひたすら夫をなじり詰問を繰り返す。
狂気の沙汰のミホとの壮絶な日々を綴った「死の棘」は読んだことはないが、内容はなんとなく知っている。
妻が入院した精神科閉鎖病棟で共に暮らしたり、退院後もなじられ罵倒され問い詰められる日々……。
身から出た錆とはいえ、そんな夫に同情した。
だが、実際はそれほど単純な話でもなかったようだ。
そもそも、自らの浮気を綴った日記を妻の眼に触れるところに置くだろうか。
それも机の上に広げて。
小説家として名を成したかった島尾敏雄陰謀説?もあるらしい。
夫が仕掛け、それにうまく妻がかかった。壮絶な夫婦愛として、小説はヒットした。
まさかね。
ともかく、浮気は事実だし妻がライオンになったのは確かなようです。
一緒に借りたのは、荻原浩の「海の見える理髪店」
こちらは、前回の直木賞受賞作。
鼻の奥がツンとする、ほのぼのした話だ。
一瞬、重松清かと錯覚した。
by masayama-chan | 2017-08-10 16:22 | Comments(2)
梯久美子さん、島尾夫妻、荻原浩さんらはともかく、マサさんの文章にも引き込まれます。
このブログに載った文が、いつか本になさると良いなあ、とつくづく思います。
まぁ、そんなに褒めていただいてありがとうございます。
娘からは、「お母さんのブログって、読む人いるの?」と言われています(苦笑)
写真も少ないし(ヘタだし)、本人以外にはつまらない内容だとか。アチャですね(≧▽≦)
「狂うひと」は読み切れなかったので、また借りようかと思っています。