「夜空はいつでも最高密度の青色だ」   

昨日(23日)、新宿ピカデリーで、映画「夜空はいつでも最高密度の青色だ」を観た。


a0108328_20454740.jpg


長いタイトルだけど、原作は最果(さいはて)タヒの同名の詩集。

「最果タヒ」とは初めて聞く名だが、2008年に21歳で第13回中原中也賞を受賞するなど、注目の詩人だそうだ。

累計27,000部を売り上げたという詩集の映像化に挑んだのは、石井裕也監督。

2017年、東京。

看護師をしながら夜はガールズバーで働く美香(石橋静河)。

建設現場で日雇いとして働く慎二(池松壮亮)

2人は、人身事故で電車が止まった夜の渋谷で偶然出会う。

一言でいうと、ピュアな恋愛映画である。

看護師の美香は、ネガティブで自虐的。愛や恋にも極端に冷めている。
つらい場面でも、「大丈夫、すぐに忘れるから」と自分に言い聞かせる。
投げやりなようでいて、実は繊細で傷つきたくないゆえに人生を慎重に生きているふうにも見える。

一方、日雇い労働者の慎二は、左目がほとんど見えない。
不安を抱え、経済的にもギリギリの状況の中で、必死に生きている。

大都会の片隅で、不安や孤独を抱えた不器用な若者が出会い、少しずつ近づいていく様は微笑ましく愛おしい。
                                     

しか~し、ふたりの会話やナレーション(たぶん詩集の中の言葉だろう)には、私はどうも青臭ささを覚えてしまう。

この映画に感情移入するには、自分は歳を重ね過ぎてしまったのだろう。
                                                 

そんな私が共感を覚えたのは、慎二の建設現場の仲間で、さえない中年男の岩下(田中哲司)だ。

岩下は腰を痛め、もう建設現場では働けない。
手がむくんでズボンのチャックも閉められない(苦笑)。
金もない。風采も上がらない。厳しい現実に直面しながらも、居酒屋で、
「ざまぁみろだ。俺は生きている!恋だってしている!」と、言い放ってみせる。

岩下は、コンビニのアルバイト店員にはかない恋をしているのだ。

どんな人生にだって小指の先ほどの希望はあるのだ、と思ったら涙が出た(泣くシーンではないが)
                                             

美香役の石橋静河は、演技がぎこちなくて素人っぽいが、そこが新鮮でもあった。

石橋凌と原田美枝子の次女だそうだ。それを知って、なるほどね~(何が?・笑)
                                         

「舟を編む」では日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した石井裕也。
詩集の言葉を膨らまして映像化する手腕はさすがだ。
30代にして既に名監督の風情だが、私は初期のころの「川の底からこんにちは」が一番好き。


http://masadry.exblog.jp/11166847/


                                         

新宿ピカデリー。
「新宿ピカデリー」より「テアトル新宿」っぽい映画だった(つまり単館系ということ)

a0108328_20452390.jpg


[PR]

by masayama-chan | 2017-05-24 20:46 | 映画三昧 | Comments(0)

<< 虫捕り小僧に気をつけろ! 「沈黙―サイレンス―」 >>