2017年 08月 30日 ( 1 )   

「幼な子 われらに生まれ」   

昨日は、テアトル新宿で、「幼な子 われらに生まれ」を観た。

原作は重松清。重松清らしさを期待するなら、期待を裏切らない作品だ。


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主人公の田中信(浅野忠信は、バツイチのサラリーマン。

再婚した妻・奈苗(田中麗奈)もバツイチで、2人の娘は奈苗の連れ子だ。

別れた元妻・友佳(寺島しのぶ)との間にも、娘が1人いる。

信は仕事より家庭を優先して(よって片道切符の出向を命じられるハメになるのだが)、血のつながらない娘たちと「家族」を築いてきたつもりでいた。

だが奈苗に新しい命が宿ると、長女は信に対してひどく反抗的になる。
憎らしいほど辛らつな言葉を浴びせる。

「やっぱりこのウチ、いやだ。本当のパパに会わせてよ」


観ながら、「難しいなぁ」と、信に同情した。

長女は小学6年生。思春期の入り口に立ったこの時期、女の子は本当に難しい。
親に対して批判的で反抗的だ。

実の娘でも手を焼くのに、ましてなさぬ仲ならいかばかりだろう。

妻の反対に耳を貸さず、長女を実の父親に合わせようと奔走する信は、立派なのか、やけっぱちなだけなのか。

探し出した本当のパパ・沢田(宮藤官九郎)は、ろくでもない男だった。

離婚の原因は、妻や子への暴力だ。

彼は娘に会う気はないと言い、「自分の人生に妻や子供は邪魔」とうそぶく。

妻・奈苗と元妻・友佳は、対照的だ。

奈苗は家庭的な専業主婦。友佳はバリバリのキャリアウーマン。

元妻・友佳は、キャリアを優先させるため信に内緒で子供を堕胎したことがある。

「仕事と子育てを両立すればいいじゃないか」と信は友佳を責めるが、それは男の正論だ(と私は思う)

キャリアを築くのにどうしても中断できない仕事があれば、「今ではない」と決断するのも止む得ないことではないだろうか。

「今産んだら一生後悔する」という友佳の気持ちに、どうしてもっと寄り添えなかったのだろう。

まぁ、だから2人は別れることにもなるのだが。

一方の奈苗は、やさしく穏やかで夫に寄り掛かって生きるタイプだ。

信のような男には理想的な(あるいは都合のいい)妻かもしれないが、沢田には重荷だった。

家でずっと自分の帰りを待つ妻が重くて、仕事帰りの足が遠のいた。

卑怯でだらしなく偽悪的な沢田だが、最後にチラッと覗かせる父親の顔が、微笑ましくもせつない。
                                          

新しい命の誕生ですべてが丸く治まるとは思えないが、新生児の産声には希望を感じる。。

信はこの先も、もがきながら悩みながら家族を紡いでいくのだろう。
                                        

原作は21年前に書かれたものだが、この手の話(血のつながらない親子)は普遍的なのでしょうね。
元妻・友佳が信に放つ言葉も……。
「理由は聞くくせに、気持ちは聞かないの。あなたって」

                                                            

<蛇足>

信が利用する最寄り駅には、斜行エレベーターがある。

「この駅、どこ?」と思ったが、西宮名塩駅とか。知らないはずだわ。

なのに、近所のふりして府中の伊勢丹デパートも出てきます(笑)


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by masayama-chan | 2017-08-30 17:51 | 映画三昧 | Comments(2)