カテゴリ:映画三昧( 168 )   

「きみはいい子」   

今日、テアトル新宿で「きみはいい子」を観た。

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原作(中脇初枝の同名の小説)を読んだのは、一年くらい前だったか。
ストーリーはうろ覚えだったが、「そうそう、確かこんな話だった」と記憶が呼び起こされる場面がたくさんあった。

岡野(高良健吾)は、小学校の新米教師。
4年生の担任だか、優柔不断で頼りなく、親からは未熟さを指摘され、子供たちからは舐められている。
クラスは学級崩壊状態だ。

雅美(尾野真千子)は、夫の単身赴任で3歳の娘と2人で暮している。
何不自由のない暮らしのはずなのに、ささいなことで娘を怒鳴り暴力を振るってしまう。

あきこ(喜多道枝)は、通学路に住む独居老人。
ある日スーパーでお金を払わず出てしまい、認知症の兆しにおびえる。

同じ街に住む彼らに特に接点はなく、三者三様の話が交互に展開する。
学級崩壊、いじめ、虐待、虐待の連鎖、独居老人の孤独。

岡野は、放課後も校庭で過ごす担任の男児(神田さん)に気付く。
「5時になるまで家に帰ってくるな」と義理の父親に言われているらしい。
雨の日に神田さんをアパートまで送って行った岡野は、ドアの前で父親と居合わせる。
父親から虐待をうけているのではないかと疑いつつも、もうひとつ踏み込めない。

全部書くと長くなるので省略するが、この映画の描こうとしているのは、
平凡なようだが、「人の優しさ。温かさ」だ。
ぐっと抱きしめてもらうことで伝わる温かさ。寄り添い共感することの大切さ。
優しく寄り添い抱きしめることで、人は人を救うことが出来るかもしれない。
そう思わせてくれるヒューマンドラマだ。

ラスト、岡野は神田さんのアパートのドアをたたく。
ドアの向こうの神田さんを救うために、勇気をもって強くたたくのだ。
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by masayama-chan | 2015-07-02 20:14 | 映画三昧 | Comments(0)

「フォックスキャッチャー」   

先日、下高井戸シネマで「フォックスキャッチャー」を観た。

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2月に公開されたときは見逃した。
映画評を読んで興味を惹かれたが、チェリーのことで映画どころじゃなかったからだ。
諦めていただけに、今回下高井戸で観ることができてラッキーだった。

1996年1月。
アメリカ屈指の大財閥の御曹司が、レスリングの5輪金メダリストを射殺した。
実話である。

ロサンゼルス金メダリストのマーク(チャニング・テイタム)は、職を失い困窮した生活を送っていた。
レスリングはアメリカではマイナーな競技なのか。

そこに大財閥デュポンの御曹司ジョン・デュポン(スティーヴ・カレル)から支援の声がかかる。
レスリング好きのデュポンが自ら作ったチーム「フォックスキャッチャー」に来ないかと。
もちろん、破格の待遇だ。

やがて、マークの兄で同じ金メダリストのデイヴ(マーク・ラファロ)もチームに加わり、ソウル5輪での金メダルを目指すことになる。

ジョン・デュポンの支配に、次第に苛立ちを覚え始めるマーク。
よき家庭人であり、よき指導者であり、周りからも慕われる兄デイヴへの気持ちも複雑だ。
兄から自立したいと思いながらも、依存から抜け出せない。

自然の中に立つ豪華な屋敷とトレーニングルームの中で、3者の得体の知れない不気味で歪んだ関係が、暗く沈んだ画面の中で展開する。

マークはソウル5輪で敗れ、「フォックスキャッチャー」を去った。
雪の積もった静かな朝。ジョン・デュポンは思い立ったように外に出る。
そしてデュポン家の敷地内にあるデイヴの住まいまで来ると、車から出てきたデイヴを銃で撃つ。あまりにも唐突に。

ジョン・デュポンが、なぜそこまでデイヴに殺意を抱いたのか、私には謎だ。
それは、たぶんジョン・デュポンにしかわからないのだろう。

2010年12月9日、ジョン・デュポンは獄中で病死した。
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by masayama-chan | 2015-06-12 10:11 | 映画三昧 | Comments(0)

「あの日の声を探して」   

連休の一日、娘と映画を観に行った。
新宿武蔵野館で上映中の、「あの日の声を探して」

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娘とふたりで映画を観るのは久しぶり。

独立を求めるチェチェン共和国にロシアが軍事侵攻した第二次チェチェン紛争が背景だ。
1999年のチェチェン。ロシア軍に両親を殺された9歳の少年ハジは、赤ん坊の弟を連れて逃げるが、途中で民家の前に置き去りにしてしまう。
両親が殺されたショックと、小さな弟を置き去りにした自責の念から声を失ってしまったハジ。
収容された施設を飛び出してさまよっていたところを、EU職員のフランス人女性キャロルに声をかけられ一緒に暮らすようになる。

並行して、ロシア軍に強制入隊させられた19歳の青年コーリャが描かれる。
軍隊内部の理不尽な暴力に、次第に人間性を失っていくコーリャ。

ハジとコーリャとの間には接点はない。
ハジの結末に救いがあることに対し、陽気で無邪気な若者だったコーリャが非情な兵士に変貌を遂げるラストは、戦争の残酷さを見せつけ心が凍る。

キャロルがEUの会議場でチェチェンの実情を必死に報告する場面が印象的だ。
各国の委員の反応は冷たい。関心を示さない。
かくいう私も、チェチェン紛争には関心がなかったというか、よく知らなかった。
無関心も無知も、また罪なのだろう。

チェチェンの風景や人々の様子は、まるでドキュメンタリー映画をみているよう。
感動的な場面もあるが、教えられることの多い作品だった。


新宿武蔵野館には久々に行ったが、座席がネット予約できるようになっていてビックリ。
以前は早めに行って、整理券(番号札)を貰っていたのにね。
それはそれで懐かしい。
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by masayama-chan | 2015-05-09 16:57 | 映画三昧 | Comments(0)

百円の恋   

昨日、テアトル新宿で「百円の恋」を観た。

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安藤サクラ演じる32歳の一子は、弁当屋を営む実家暮らし。
働くこともせず、ゲームをしてだらだらと無為な日々を送る。
ボサボサの髪、ゆるゆるの部屋着、しまりのない体型、投げやりでふてくされた態度。
安藤サクラの演技があまりにもリアルで、一子の生活状態に開いた口が塞がらない。

ある日、弁当屋を手伝う出戻りの妹と激突し、やけになって家を出る。
この姉妹のケンカが、暴力的でまぁ凄まじい。
必死に止めようとする母親には、同情せずにはいられないです。

独り暮らしを始めた一子は、100円ショップで深夜勤務の職を得る。
帰り道にあるボクシングジムで、ボクサのー狩野と知り合い、彼の試合を見に行ったことから一子の中に熱い思いが宿る。
自分もボクシングがしたい。ボクサーとして闘いたい。

安藤サクラが、とにかく凄い。
ボクシングを始めて、顔つきも体型も、どんどんしまって変化していく。
美人でもないし、可愛くもないし、演技もうまいんだか棒読みなんだか、よくわからなかった。これまでは。
でも、この映画の一子は安藤サクラ以外には考えられない。
一線を越えたような圧巻の演技だ。

殴られて、蹴られて、血まみれになって、よれよれになって、なんとか立ちあがる。
闘わなければ、なにも変えられないのだから。

32歳の一子に言うのはなんだが、これは一人の女性の成長物語だ。
最近の一押し!
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by masayama-chan | 2015-01-15 15:44 | 映画三昧 | Comments(4)

バンクーバーの朝日   

今年最初の映画は、「バンクーバーの朝日」

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年末に観てきた娘が、「始まってわずか5分で泣けた」と言う。
期待しないではいられない。

物語の舞台は、第二次大戦前のカナダ・バンクーバーの日本人街。
主役は製材所で働く日系2世のレジー(妻夫木聡)。
低賃金の過酷な労働と人種差別の中にあって、彼の唯一の楽しみは野球だ。
漁師のロイ(亀梨和也)や同僚のケイ(勝地涼)、豆腐屋のトム(上池雄輔)らと野球チームを結成している。
その名も「バンクーバー朝日」
体格とパワーで圧倒的に勝る白人チームに全く歯が立たない弱小チームだ。

負け続ける中、レジーはある日ひらめく。
バンドや盗塁を駆使して点を稼ぐ手法を。いわゆる頭脳プレーだ。
この作戦で「バンクーバー朝日」は勝利を重ね、ついに地区で優勝するまでに……。

ただ、観ていて胸のすく痛快な野球映画では終わらない。
太平洋戦争が始まると、日系人たちは敵性外国人ということで、収容所送りとなる。
やがて終戦。「バンクーバー朝日」が再結成される日はこなかった。

始まって5分で泣くことはさすがになかったが、後半レジーが父親(佐藤浩市!)に語る言葉に泣けた。
「野球がやれるなら、ここに生まれてきて良かったと思える」
貧困と重労働と容赦ない人種差別、そんな過酷な環境にあっても、「ここに生まれてきて良かったと思える」と言える謙虚さ、健気さ。
健気といえば妹のエミー(高畑充希)も、痛々しいくらい健気。
たぶんこの映画は、そんな日系人の佇まいを描きたかったと思うのだ。

それにしても、亀梨和也は阿部サダヲに似ている。
亀梨ファンには申し訳ないが、ホントそっくり。
申し訳ないというのも、阿部サダヲに悪いか(笑)


観終わったあとは、いつものお蕎麦屋さんで具沢山の「けんちん蕎麦」

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by masayama-chan | 2015-01-06 22:47 | 映画三昧 | Comments(4)

「ゴーン・ガール」   

おととい(16日)、府中の映画館で「ゴーン・ガール」を観た。
映画館へ行くのは、ほぼ2か月ぶり。
そして、たぶん今年最後の映画だ。

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誰もが羨む理想的な夫婦のニックとエイミー。
しかし、突然悲劇が訪れる。結婚5周年を迎えた記念日にエイミーが失踪したのだ。
部屋は荒らされ、キッチンには大量の血液を拭き取った跡が……。
いったいエイミーに何が起きたのか。


捜索の協力を呼びかける夫のニック。
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警察はアリバイが不自然なニックに疑いの目を向け、アメリカ・ミズーリ州の田舎町で起きた美人妻失踪事件にメディアは熱くなる。
暴走する報道に、ニックは全米から疑いの目を向けられることに。


衝撃の展開に、開いた口がふさがらない。
美しく聡明で完璧な妻エミリーの実態は、サイコサスペンスか、ホラーか。
ニックと双子の妹マーゴとの微妙な距離感もミステリーだ。

これ以上書くとネタバレになってしまいそう。
とっても面白い。しかし、後味のすご~く悪い作品だ。
口直しに、来週は「バンクーバーの朝日」を観ようか(笑)
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by masayama-chan | 2014-12-18 18:38 | 映画三昧 | Comments(2)

「ふしぎな岬の物語」   

今日、吉永小百合さん主演の「ふしぎな岬の物語」を観た。
実在する喫茶店をベースに書かれた本が原作とのこと。

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海と花畑に囲まれたのどかな町が舞台だ。
岬の突端にある「岬カフェ」。
カフェの店主は,、吉永小百合が演じる柏木悦子。
悦子の周りは、彼女を慕う何でも屋の浩司(阿部寛)、都会から戻ったみどり(竹内結子)、不動産屋のタニさん(笑福亭鶴瓶)、そして悦子の入れるコーヒーに癒されたくて通う常連客の人々が集まる

時どき笑いを誘いながら、ほのぼのとした話が続く。
このまま平穏に終わるのかと思ったら、終盤思わぬ展開が……。

悦子と浩司の関係が謎だったが、実は血の繋がった叔母と甥だった(な~んだ)
いい歳をした男が、歳の離れた叔母をこれほどまでに恋慕うのだろうか。
それが、「ふしぎな岬の物語」で、私には一番「ふしぎな物語」だ。
ラストシーンの浩司のセリフ、「赤ん坊、できちゃいました」にも笑えた。

吉永小百合は、どんな役を演じても吉永小百合だ。
そして、鶴瓶もそのまんま。
「吉永小百合も老けたな」と、ツレがボソッと言った。
仕方がないよ、70歳近いのだもの。
顔がむくんでいるように見えたのが気になったが、シャープな顎のラインは健在だ。


観終わったあと、韓国料理店でランチ。
石焼ビビンバと豆腐チゲのセット。
(相当ボケてますが酔ってません(笑))

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by masayama-chan | 2014-10-26 20:48 | 映画三昧 | Comments(2)

「グレース・オブ・モナコ」   

昨日、府中の映画館で「グレース・オブ・モナコ」を観た。
ハリウッド女優からモナコの大公妃となったグレース・ケリーの物語だ。


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ただ、華々しいシンデレラストーリーを期待すると裏切られる。

世紀の結婚から6年、モナコは危機的な状況に。
フランスのド・ゴール大統領が過酷な課税をモナコに強要し、夫のレーニエ公が窮地に立たされたのだ。
フランスに占領されそうな状況に、グレースは一念発起し果敢に立ち向かう。


美貌も地位もすべてを手に入れ、世界中の女性の羨望の的と思われがちだが、案外苦難に満ちた半生だったのかもしれない。


グレースを演じるのは、ニコール・キッドマン。
確かに綺麗だが、気品あるグレース・ケリーのクール・ビューティーとは、異質の美しさだ。
私には、「ペーパー・ボーイ」での印象が強烈すぎて、ニコール・キッドマンのグレースには、はなはだ懐疑的だった。
なのに、観ているうちに、ニコ様がグレース王妃にしか見えなくなった(笑)


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ストーリーはさておき、グレース(ニコール・キッドマン)の美しさに、ただただ圧倒され続けた1時間43分でありました。
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by masayama-chan | 2014-10-22 20:44 | 映画三昧 | Comments(2)

海を感じる時   

昨日、テアトル新宿で「海を感じる時」を観た。
1978年に発表された、中沢けいの衝撃のデビュー作の映画化だ。


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原作を読んだのはいつだったかな。ギリギリ20代だったかもしれない。
多感な少女を描いて、いつの時代にあっても普遍的なテーマだが、悲しいかな今の私では、もはや少女の気持ちに寄り添うことは出来ない。

主人公・恵美子は高校の先輩・洋に思いを寄せるが、冷たく拒絶される。
拒まれても疎まれても、彼を求め、その前に体を差し出す恵美子。
拒まれ傷ついても、なお彼に寄り添う恵美子の心が、なんとヒリヒリと痛々しいことか。
そう、今風にいえば、実に「イタイ女」だ。

一方、洋にしてみれば、恵美子のことは好きではないが、欲望を満たしてくれる都合のいい女だ。
けど、重い。
彼は彼で、恵美子の気持ちと自分の欲望を持て余し、苦悩しているのかもしれない。

私が恵美子の親だったら、映画の母親と同じように頭から湯気を出し、「もっと自分を大事にしなさい」と言うだろう。
主人公ではなく母親の気持ちに共感を覚えたのは、私がすっかり歳を重ねてしまったということでしょう。


少し前に、原作者の中沢けいさんを新聞(?雑誌かも)で拝見したが、繊細な作家のイメージではなく、どちらかというと「逞しいお母さん」っていう感じだった。
なんだかホッとしたのは、なぜでしょうね。


テアトル新宿。
ビルの地下にある映画館は、洒落た雰囲気だ。
売店のコーヒーも豆から挽いてくれます。

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by masayama-chan | 2014-10-03 14:44 | 映画三昧 | Comments(2)

「私の男」   

昨日、府中の映画館で「私の男」を観た。
桜庭一樹の直木賞受賞作品だ。
何年か前に原作を読んだ時の衝撃が、暗い館内で生々しく蘇った。

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奥尻島を襲った大地震による津波で家族を失った花(山田望叶、のちに二階堂ふみ)。
孤児となった10歳の花を、遠い親戚と名乗る男・腐野淳悟(浅野忠信)が引き取ることから、物語は始まる。

雪に閉ざされた北海道紋別で、寄り添うように暮らすふたり。誰にも言えない秘密を抱えて。

花を見守ってきた遠縁の大塩(藤竜也)は、ふたりの関係に気付き、花を淳悟から引き離そうと諭す。
流氷の上を逃げるように走る花。
「花ちゃん~、危ないよ。戻りなさい」と追う大塩に、花は叫ぶ。
「知ってたよ。本当のおとうさんだって。どこがいけない!!」

やがて冷たい海から大塩の遺体が発見され、淳悟と花は逃げるように東京へ。
東京での第2の殺人事件は、まるでホラーだ。
血を舐めるような、ふたりの濃密な関係は、もっとホラーかもしれない。

原作は、確か、銀座で花が淳悟を待つ場面から始まる。
雨の中、赤い傘をさしてやってくる「私の男」。
映画は、その直後の、花の婚約者との会食のシーンで唐突に終わる。余韻を残して。

浅野忠信は、インモラルな男を演じてピッタリはまっている。
二階堂ふみは、「やっぱり宮崎あおいに似ている」と思ってしまった。
でも、あおいちゃんには、この役はきっとムリでしょう。
純粋ゆえに不道徳な少女の、「フッフッ」という低く不気味な笑いが耳から離れない。
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by masayama-chan | 2014-06-20 23:25 | 映画三昧 | Comments(2)