カテゴリ:映画三昧( 179 )   

「海賊とよばれた男」   

今日、府中の映画館で、「海賊とよばれた男」を観てきた。

原作は、本屋大賞を受賞した百田尚樹の同名小説。

出光興産創業者の出光佐三氏がモデルで、主人公・国岡鐵造をV6の岡田准一が演じている。


a0108328_19595565.jpg

                                                        

熱い、とにかく熱い男の一代記だ。

明治末、若き日の国岡鐵造は石油の将来性に目をつけ、石油販売会社(国岡商店)を興す。だが、新参者ゆえ誰にも相手にされない。

鐵造の前には、国内の販売業者や欧米の石油メジャーなど、様々な壁が立ちはだかる。

ただ、どんな逆境にあっても、たとえ絶体絶命の状況でも、鐵造は決してあきらめない。常識を覆す発想と大胆な行動力で、道を切り開いていく。
その生き方は、惚れ惚れするほど爽快だ。

                                                                                                                          

彼は、なぜ「海賊」と呼ばれたか。

理由は、海の上で漁船に油を売ったからだ。

陸の上では他の会社が睨みをきかせ自由に販売できないため、海上で漁船を待ち構えて安い値段で油を売った。

なんと大胆奇抜な発想だろう。
                                       

戦後の60代をメインに、若いときから96歳までの鐵造を、岡田クンがひとりで演じている。

なんて見事な老け役。違和感がない。

吉岡秀隆、染谷将太、綾瀬はるか、堤真一ら共演陣も豪華だ。

なかでも「さすが」と思ったのは、番頭?甲賀役の小林薫。
例えば、東雲役の吉岡秀隆は吉岡秀隆にしか見えないが、甲賀役の小林薫は小林薫には見えない。真の役者だ。

                                                           

終盤の黒木華が出てくるシーンは、いかにもお涙ちょうだいを狙ったかのようで白けた。

が、それを除けば、骨太でスケールの大きい、観て損はない男の映画です!

                                                                 

(蛇足)

皮肉にも、出光興産と昭和シェル石油の合併延期が昨今の話題になった。

2017年4月に予定されていた合併を、出光創業家が反対しているらしい。

この映画を観れば、サウジアラビア国営石油の資本が入る昭和シェルとの合併に創業家が反対するのも、なんとなくわかる気がする。


さらに蛇足ですが、昨年亡くなった作家の夏樹静子さんの本名は、出光静子。
ご主人の出光芳秀氏は、出光興産創業者の甥。
結婚当初夫は妻が小説を書くことにいい顔をしなかったそうですが、夏樹さんの書きたいという情熱が勝ったのでしょうね。


[PR]

by masayama-chan | 2017-01-06 20:00 | 映画三昧 | Comments(0)

「永い言い訳」   

2週間ほど前、映画「永い言い訳」を観た。本木雅弘の久々の主演作だ。

                                                          

a0108328_17051100.jpg


人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(本木雅弘)は、美容師の妻・夏子(深津絵里)を、バス事故で突然失う。

幸夫は悲劇の主人公として世間の注目を浴び、それらしく振舞うが、夏子への愛情はとっくに冷めており、妻の死を素直に悲しむことができない。
                                         


ある日、幸夫は、夏子の親友で共にバス事故で亡くなったゆき(堀内敬子)の夫・大宮陽一(竹原ピストル)に会う。

トラック運転手の陽一は、愛する妻を失って深い悲しみに打ちひしがれていた。
保育園と小学校に通う
2人の子供を抱え、途方に暮れてもいた。

幸夫は、ふと思いついて子供たちの世話を買って出る。
                                             


幸夫は団地に暮らす大宮家に通い、慣れない子供の世話や家事に悪戦苦闘する。
不器用で必死な姿が、フフと笑いを誘う。

世間体ばかり気にし、妻の死に一滴の涙も出ないような自己中心的な男が、なぜ妻の親友の家族のためにここまでするのか。

最初は、違和感を持った。でも、わかった。

幸夫は妻が死んだとき、自宅に招き入れた愛人と情事にふけっていた。
その罪の意識から、何かをしないではいられないのではないか。
                                                              


子供は幸夫に次第に心を開き、幸夫は人のために何かをする喜びに気づき始める。

ジタバタもがく情けない男の役を、本木雅弘が好演している。
ダメ男ぶりに、可笑しさがにじみ出る。
                                        


もう、「もっくん」なんて言えないね。

(貫禄が付いたというか、少し太ったかしら)


[PR]

by masayama-chan | 2016-11-11 17:05 | 映画三昧 | Comments(0)

「クリーピー 偽りの隣人」   

昨日、府中の映画館で「クリーピー 偽りの隣人」を観た。
想像以上に、気持ちの悪い映画だった。

a0108328_1514948.jpg


犯罪心理学者の高倉(西島秀俊)は、元捜査一課の刑事。
ある出来事をきっかけに刑事を辞め、大学で教鞭をとっている。
刑事時代の後輩・野上(東出昌大)から、6年前の一家失踪事件の分析を頼まれ、好奇心から深入りしていく。
一家失踪事件では、長女・早紀(川口春奈)がひとりだけ残された。
彼女から当時の記憶を引き出そうとするも、なかなか核心にはたどり着けない。
一方、高倉と妻(竹内結子)が引っ越した新居の隣人は、どこか変だった。

香川照之が演じる隣人・西野が実に不気味だ。
捉えどころのない言動に、恐怖がじわじわと押し寄せる。
ある日、西野の娘・澪の言葉に、高倉は愕然とする。
「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です」

不気味な隣人と、6年前に起った一家失踪事件との間に接点はあるのか。
ネタばれになるのであまり書けないが、隣人・西野の家は恐怖の館だ。
鉄製の扉の向こうで広げられる、クレイジーで猟奇的な光景には身の毛もよだつ。
その恐ろしい世界に、高倉の愛する妻・康子もいつしか堕ちていた。
まさに驚愕のサイコスリラー。

香川照之が、狂気に満ちたサイコパスを怪演している。
あまりの不気味さに途中で席を立とうと思ったほど、すごい。
その一方、東出昌大の棒セリフは、どうなの?
警察の無能ぶりにもイライラさせられる。

精神衛生上、よろしくない作品だ。
でも恐怖のサスペンス映画としては、面白い出来なのでしょう。
[PR]

by masayama-chan | 2016-06-29 15:21 | 映画三昧 | Comments(0)

「64ロクヨン」後編   

前編に続いて、「64ロクヨン」の後編を観てきた。

a0108328_2143175.jpg


たった7日間しかなかった昭和64年。
「64ロクヨン」は、そのわずかな期間に起きた少女誘拐殺人事件を扱った、横山秀夫原作の映画だ。
解決をみないまま時は流れ、時効が一年後に迫った平成14年。「ロクヨン」を模した事件が発生する。
前編はそこで終わった。
さて、後半はどんな展開になるだろうと、ワクワクしながら映画館へ足を運んだ。

警察組織の複雑な人間模様を怒涛のように描いた前編より、後半はストーリー性が強い。
物語としては充分楽しめるが、前編に比べ作為的なものを感じてしまった。
とはいえ、佐藤浩市を始めとする俳優たちの演技は見応えがあり、映画としては言うことなし。
特に(前回も書いたが)被害少女の父親役である永瀬正敏の演技は、痛々しいほど切実で胸に迫った。
永瀬正敏って、こんなに上手い俳優だっけ?

ロクヨンを模倣した誘拐事件で、被害者の父親を演じる緒方直人も、意外といえば意外なキャスティングで魅せた。
元ロクヨン捜査官・幸田役の吉岡秀隆と雰囲気が似ていて、混乱?したけれど(笑)
おなじく元ロクヨン捜査官で事件後引きこもってしまう日吉役の窪田正孝も、俳優として同じ系列の雰囲気をまとっている。

事件は解決したが、後味はほろ苦い。
佐藤浩市演じる三上の今後が気になるが、たとえ彼が職場を去ったとしても代わりになる者は必ず現れる。
組織とはそういうものだと示唆した幕切れだった。
[PR]

by masayama-chan | 2016-06-23 21:47 | 映画三昧 | Comments(0)

最愛の子   

今日、下高井戸シネマで「最愛の子」を観てきた。
中国の暗部を改めて感じさせる映画だった。

a0108328_22423593.jpg


2009年7月18日。中国・深圳。
3歳の息子ポンポンが突然いなくなった。
父親のティエンと母親のジュアン(2人は離婚している)は、必死でポンポンを探す。
街頭に立ち、インターネットで情報提供を呼びかけ、報奨金目当ての詐欺にひっかかりながらも、あきらめずに探し続ける。

3年後の2012年夏。
ポンポンらしき男の子が、中国北部の農村にいるという情報が入った。
さびれた村を訪れたティエンとジュアンは、庭にいる男の子を目にする。大きくなってはいたが、間違いなく自分たちの子ポンポンだった。

が、これで「めでたし、めでたし」とはいかない。
ポンポンは実の親を忘れ、育ての親のホンチンにすっかり懐いていた。
一年前に死んだホンチンの夫がポンポンを誘拐し、子供が産めない彼女の元へ連れてきたのだ。誘拐の事実をホンチンは知らなかった。戸惑い混乱するホンチン。
そして、ホンチンを「かあちゃん」と慕い、ホンチンとの別れを悲しむポンポン。

実際に起きた事件を基にした作品である。
なんと中国では、年間20万人もの子どもが行方不明になっているという。そして、誘拐された子どもは5000ドルから13,000ドルで取引される。この驚きの事実。
背景にあるのは、中国が抱えるさまざまな問題だ。一人っ子政策や著しい経済成長の元で広がる経済格差。

ポンポンを想うホンチンの愛は本物だが、なにしろ夫が誘拐してきた子供だ。
ポンポンが実の親の元へ戻ったのは当然でしょう。
そして、どんなにホンチンとの別れを悲しんでも、6歳のポンポンは新しい暮らしにやがて馴れることだろう。

予想外の展開というか、どんな想像をも覆す驚愕の結末に、開いた口がふさがりませんでした!
どんでん返しのミステリーか。いや、私にはホラーです。
[PR]

by masayama-chan | 2016-05-31 22:42 | 映画三昧 | Comments(0)

「64ロクヨン」前編   

昭和64年は、その時代を生きた者にとっては、短くても忘れられない年だ。
昭和最後の年は、たった7日間しかなかった。
日本中が昭和天皇の死を悼み、喪に服した。

その昭和64年の、わずか7日の間に起きた少女誘拐殺人事件を扱った映画・「64ロクヨン」を、月曜日(23日)に観てきた。

a0108328_15122775.jpg


平成14年。事件は未解決のまま時が過ぎ、時効が一年後に迫っていた。
かつてロクヨンの捜査にあたった主人公・三上義信(佐藤浩市)は、現在は警務部の広報官として働く。

少女誘拐殺人事件をベースに置きながら、警察という組織の複雑な人間模様を描いた骨太のドラマである。
三上がかつて所属した刑事部と、現在所属する警務部、両部の確執。
広報室と記者クラブの対立。
本庁から送り込まれたキャリア組と、地元出身のノンキャリア組との壁。
まさに職場は戦場のよう。そのうえ娘の家出という家庭問題も抱え満身創痍?の三上。
さまざまな難題に直面し、苦境に立たされながらも、葛藤し疲弊しながらも、三上は逃げない、あきらめない。
その精神性のなんてかっこいいことか。

同じ原作者(横山秀夫)による「クライマーズ・ハイ」を観たときのような高揚感を味わった。
警察と新聞社、刑事と記者といった背景の違いはあるにしても、組織内の軋轢にもまれながら働く男たちの仕事への情熱に、惹かれた。

私の好きな仲村トオルさんは、人事権を持つ警務課調査官・二渡を演じていて、三上の側から見ればちょっとイヤな奴だ(苦笑)
刑事部長のポストに本庁のキャリアが座るというウワサに、ノンキャリア組の心は穏やかでない。
調査官という立場に立つ二渡の言葉は正論だ(と思う)
「上司が誰になろうと、ひと月もすれば馴れる。組織とはそういうものだ」

「ロクヨン」を模した事件が発生したところで、前編は終わる。
後編もぜひ観なくちゃ。
[PR]

by masayama-chan | 2016-05-25 15:16 | 映画三昧 | Comments(4)

山河ノスタルジア   

水曜日(18日)、Bunkamuraザ・ミュージアムで「俺たちの国芳 わたしの国貞」を観たついでに、ル・シネマで「山河ノスタルジア」を観た。
せっかくBunkamuraまで来たのだからと思ったのだが、「国芳、国貞」展に比べて館内は人影まばらで、ちょっと寂しい。

a0108328_2135837.jpg


映画は、1999年、2014年、2025年の3つの時代で構成されている。

1999年、山西省・汾陽<フェンヤン>。
小学校教師のタオは、幼なじみの2人の男性から思いを寄せられている。
炭鉱で働くリャンズーと実業家のジンシェンだ。
タオはジンシェンのプロポーズを受け入れ、2人の間には息子・ダオラーが誕生する。

2014年。タオはジンシェンと離婚し、一人汾陽で暮らしていた。
タオの父親が亡くなり、葬儀に出るために戻ったダオラーと再会。
父親と上海で暮らすダオラーは、見るからに洗練された都会っ子だ。
タオは、2人がオーストラリアに移住することを知る。

2025年、オーストラリア。
19歳のダオラーは、長い海外暮らしで中国語が話せなくなっていた。
豊かな生活の中にあって、逆にやりたいことが見いだせない。
そんな中、親子ほどに歳の違う中国語教師ミアと出会う。


タオとジンシェンが離婚に至る経緯は一切描かれていないが、そもそもタオはなぜジンシェンを選んだのだろう。
金儲けはうまいかもしれないが、自分勝手で品性に欠ける男だ。
かといって、リャンズーも経済力のないはっきりしない男。
私なら、たぶんどちらも選ばない(笑)

19歳になったダオラーが年上のミアに惹かれるのは、そこに母親の面影を見るからだろうか。
でもミアは、母親のタオよりもっと老けて疲れて見える。
ダオラーがミアに寄せる思いは、恋ではないのかもしれない。

まぁ、いろいろ突っ込みながら観ていたが、唐突な終わり方を含めて、なかなかいい映画だった。
経済成長著しい中国で、時代の波に乗る者、取り残される者。
長年炭鉱で働き貧困の中で病魔に倒れたリャンズーはもちろん、うまく時代の流れに乗り成功を収めたはずのジンシェンも、その恩恵に預かった息子のダオラーも、だれも幸せには見えない。
そして、時代がどんなに変貌を遂げようと、母が子を思い子が母親を慕う気持ちは普遍だ。
[PR]

by masayama-chan | 2016-05-21 21:13 | 映画三昧 | Comments(0)

「スポットライト」   

木曜日、府中の映画館で「スポットライト 世紀のスクープ」を観た。
今年のアカデミー賞の賞レースで、レオ様の大作(レヴェナント 蘇えりし者)を押しのけて作品賞に輝いた映画だ。

a0108328_2175243.jpg

(救急車事件の)肋骨の痛みは残るものの、安静にしているほどではないし、かといって家にいても満足に家事ができないので、ふと思い立って出かけた。


2002年、アメリカ・ボストン。
タイトルの「スポットライト」は、地方紙「ボストン・グローブ」の特集記事の名称である。
そのスポットライト紙面で、カトリック教会のスキャンダルが暴かれた。
実話を基に、スポットライトの担当記者たちが真実を追求する姿を描いた社会派作品だ。

カトリック系住民が多いボストン。カトリック教会は聖域である。
その聖域で、神父が教区の少年に性的虐待をしていた。
表ざたになった事件は氷山の一角で、その陰に莫大な数の加害者と被害者がいた。
取材を進めるうち、教会が組織ぐるみで隠ぺいしていた事実にたどり着く。

地味な作品である。派手な法廷シーンも、暴力的なシーンもない。
記者たちの地道な取材の過程が丁寧に描かれている。
教会という巨大な権力に立ち向かう彼らを突き動かしているのは、人としての正義であり、どこまでも真実を追求する記者魂でしょう。

地味だけど良心的な映画を作品賞に選んだのは、ハリウッドの矜持でしょうか。
[PR]

by masayama-chan | 2016-04-23 21:08 | 映画三昧 | Comments(2)

「恋人たち」   

先週、下高井戸シネマで「恋人たち」を観た。
2015年「キネマ旬報ベスト・テン」の日本映画第一位に輝いたほか、「毎日映画コンクール」の日本映画大賞も受賞した作品だ。


a0108328_20551828.jpg


昨秋の公開時(於テアトル新宿)には見逃してしまったので、今回私の好きな下高井戸シネマで観ることが出来で本当にラッキーだった。
こういうのを小さな幸せというのかなぁ。

主人公は3人。
3年前、通り魔によって妻を殺されたアツシ。弁当屋で働く主婦の瞳子。エリート弁護士の四ノ宮。
それぞれがそれぞれの事情を抱えている。
アツシは橋梁点検の仕事をしているが、妻を失った喪失感と悲しみから抜け出せない。
損害賠償請求の訴訟を起こそうと奔走するも、気持ちの面でも経済的にも追いつめられていく。

主婦の瞳子は、夫と姑の3人暮らし。
そりの合わない姑、家族に無関心で覇気のない夫。
姑と夫に気遣い、無難に家事をこなしながら、諦めたような人生を惰性で生きている。
平凡な主婦の日常が、あまりにもリアルで生々しく描かれている。
そんな瞳子の前に現れたのが、弁当屋の取引先である肉屋の弘。
瞳子は弘に魅かれ将来を託そうとするが、弘は危険な男だった。

一方、エリート弁護士の四ノ宮はゲイ。
自分を理解してくれていたはずの大学時代の親友に、思わぬ疑いをかけられて困惑し、焦燥感にかられる。

アツシと四ノ宮が、弁護士と客の関係であるのが後半になってわかるが、それ以外に3人の接点はない。
共通しているのは、自身の人生の生きにくさか。

瞳子は、弘の恐ろしい実態を見て目を覚まし、退屈な日常に戻っていく。
そこにしか、自分の居場所も未来もないのだ。
アツシは職場の同僚たちとのふれあいの中で、絶望的な悲しみから少しでも立ち直ることができるのだろうか。
アツシが同僚と橋梁点検へ向かうボートの遥か上に、青空が広がっていた。
ボートから見上げる切り取られた青空だけど、かすかな希望を予感させ、ほっとした。

光石研、木野花、安藤玉恵といった脇を固める俳優たちの巧みさに比べ、主人公3人の演技は素人っぽい。
それが、リアルさを増している。
[PR]

by masayama-chan | 2016-03-13 21:01 | 映画三昧 | Comments(0)

「キャロル」   

先週の初め、府中の映画館で「キャロル」を観た。
映画を観るのは久しぶり。今年に入ってから映画館へ足を運ぶ気になれないでいたが、この映画はぜひ観たいと思っていた。
期待を裏切らない、甘美で美しい映画だった。


a0108328_174919.jpg


舞台は、1950年初めのニューヨーク。
クリスマスで賑わうデパートのオモチャ売り場で、店員のテレーズ(ルーニー・マーラ)はひとりの女性客に惹きつけられる。
美しい金髪と真っ赤な唇、ゴージャスな毛皮をまとった隙のない美貌の持ち主の名は、キャロル(ケイト・ブランシェット)。
彼女は娘のクリスマスプレゼントを買いに来たのだった。
見つめ合うキャロルとテレーズ。この出会いの瞬間に、ふたりは恋に落ちたのだ。

キャロルは裕福な主婦だが、心の通わない夫との結婚生活は破たんしていた。
娘の親権を巡って夫と争い、苦悩と悲しみの中にいる。
一方のテレーズは、写真家になる夢を抱く若き女性。
結婚を熱心に迫る男性もいるが、踏み出せない。

キャロルとテレーズは、出会った瞬間にお互い心を奪われ、相手を求めずにはいられない。
そのプロセスが、切ないほどていねいに描かれている。
女性同士だが、純粋なラブストーリーだ。

終盤、許されぬ恋は終わりを迎えると予想したが、ラストシーンは思わせぶりだった。
二人の恋はどこへ向かうのだろう。

それにしても、ルーニー・マーラの変貌ぶり。
「ドラゴン・タトゥーの女」の顔中ピアスの印象が強烈なのだけど、この映画では清楚で可憐で一途だ。
[PR]

by masayama-chan | 2016-02-29 17:07 | 映画三昧 | Comments(3)