カテゴリ:映画三昧( 173 )   

ワンチャンス   

おととい(火曜日)、吉祥寺バウスシアターで「ワンチャンス」を観た。

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主人公・ポール・ボッツは、30代半ばの携帯電話ショップの店員。
西田敏行を若くしたような、見た目は冴えない太っちょの男だ。
昔も今も、いじめられっこ。
人はいいけど、苦難続きのポールの人生。でも、彼には大好きな歌があった。

背水の陣で臨んだイギリスの人気オーディション番組。
そこで彼は優勝を勝ち取る。
長年抱き続けたオペラ歌手になりたいという夢を、ついに叶えるのだ。

「まぁ、あのスーザン・ボイルさんみたいじゃない」と思ったのだが、それもそのはず、ポールは彼女が優勝したオーディションの第一シーズン優勝者ということだ。
オペラに詳しくない私は知らなかったが、ポール・ボッツは世界的オペラ歌手。
これは、彼の半生を描いた実話である。

夢のようなシンデレラストーリーと見るか。
いや、彼がワンチャンスをものにできたのは、運でも奇跡でもない。
挫折を繰り返しながらも、歌への情熱を抱き続けたからだ。諦めずに努力を重ねたからだ。
巡ってきたチャンスを手中に収めるには、それまでのたゆまぬ努力と準備がものをいう。
それは、誰の人生にも言えるのかも。どんなささやかな人生にも。

オーディションでポールが「誰も寝てはならぬ」を歌い上げるシーンは感動的だ。
「あなた、何しにきたの?」と皮肉った美貌の審査員が、そっと涙をぬぐった。
もちろん、私も泣いた。


バウスシアターは、来月閉館する。
すごく寂しいけど、仕方ないのだろう。
この日の観客は、たった4人だったもの。

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京王井の頭線吉祥寺駅が、生まれ変わっていた!
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北口に出るのが、すごく楽になった♪
でも、バウスシアターがなくなったら吉祥寺に来る機会は減るだろう。
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by masayama-chan | 2014-04-17 22:04 | 映画三昧 | Comments(4)

家族の灯り   

昨日は、岩波ホールで「家族の灯り」を観た
監督は105歳!を超えた巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ。
出演は、マイケル・ロンズデール&ジャンヌ・モロー&クラウディア・カルディナーレ。
往年の大女優ふたりを観たくて出かけた。

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港の風景で始まる映画は、まるで絵画のようだった。
石造りの家、ランプの灯り。
その下で、8年前に忽然と姿を消した息子の帰りを待ちわびると父と母、そして妻。

ル・モンド紙が「まるでレンブランドの絵の世界に入り込んだような映像美」と批評していたが、まさにそのとおりだ。

カメラは暗い部屋の中からほとんど出ず、極端に動きの少ない映画だ。
あるのは、老人たちの退屈な会話。
フランス語の響きが心地よかったのか、いつの間にか寝てしまい、気づいたらエンドロールが流れていた(苦笑)
まぁ、2人の大女優の最近のお姿を拝見できただけでもいいか(負け惜しみ)

「山猫」のころのクラウディア・カルディナーレは、本当に綺麗だった。
ジャンヌ・モローを美女だと思ったことはないが、独特の魅力があった。
ふたりとも、歳を重ねてすっかり皺が増え、声もしゃがれた。
それでも、それなりに魅力的だったと言っておこう。


岩波ホールで映画を観るのは久しぶり。
神保町駅の出口から直結している。
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帰り、三田線のホームに立ち、どちら(上り、下り)の電車に乗ったらいいのか、混乱した。
大丈夫か、私!?!
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by masayama-chan | 2014-03-26 14:18 | 映画三昧 | Comments(2)

「それでも夜は明ける」   

久々にパソコンを開いた。
旅行をしていたわけでも、体調が悪かったわけでも、すごく忙しかったわけでもないが、気づくとここ一週間ほどパソコンに触っていなかった。
毎日惰性のようにパソコンを開けていたが、使わない日が続くと使わないことが習慣になるみたい。
あれば便利だが、画面の前で無為な時間を過ごしていたのも事実。
少し反省して、少し自粛しよう(と一応思った次第)


ところで、昨日は府中の映画館で、「それでも夜は明ける」を観た。
実話に基づく話で、今年のアカデミー作品賞に輝いた。

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「目覚めたら、奴隷だった」
1841年、ニューヨーク州サラトガ。
バイオリニストの自由黒人ソロモンは、愛する妻と2人の子供と共に平穏で幸せな生活を送っていた。
が、ある日突然拉致されて、南部の農園に売られてしまう。
待っていたのは、奴隷としての壮絶な日々。
激しい差別と暴力。過酷な労働と容赦ない鞭打ち、首吊りにもされる。スクリーンを見ているのがつらいほど。
「金で買った奴隷は、家畜と同じ」と白人は言うが、家畜でもこれほど酷い扱いは受けないのではないか。

12年という時を経て、ソロモンは自由黒人であることが証明され、再び自由を手にする。
奴隷の黒人と、自由証明書で認められた自由黒人とでは、明確な区別があったのだ。
ソロモンはどんなに絶望的な境遇の中にあっても希望と尊厳を失わない魂を持った男。
ラストの家族との再会シーンはジーンときた。
でも、心底感動できなかったのは、なぜか。
ソロモンは自由になっても、農園の他の奴隷たちは、奴隷のまま悲惨な生涯を終えるに違いないからだ。

登場場面は少ないが、ブラッド・ピットが重要な役で出演している。
奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者で、ソロモンが自由黒人として認められるための手助けをする役だ。

それにしても、レオ同様、ブラピもどんどんワイルドになる。
「ジョー・ブラックをよろしく」に出ていたブラピは、めまいがするほど美しかったけどね。


映画の後は、いつもの「そじ坊」で。
昨日は、「あさりと春野菜たっぷりの蕎麦」
とても美味しかった。
ピンク色のは桜海老。

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by masayama-chan | 2014-03-12 14:48 | 映画三昧 | Comments(2)

「エヴァの告白」   

昨日、新宿武蔵野館で「エヴァの告白」を観た。

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人影まばらな狭く暗い館内で、こちらの気持ちまで暗く沈みそうな映画だった。
キャッチコピーは、「祈りはかなわず、希望はつぶされ、愛に裏切られ、ただ生きようとした。それが罪ですか?」

1921年、戦火のポーランドを逃れて、妹マグダとアメリカへやってきたエヴァ(マリオン・コティヤール)
だが入国審査で、病気の妹は隔離され、エヴァも不当な理由から入国を拒否される。
強制送還されそうになったエヴァを救ったのはブルーノという男(ホアキン・フェニックス)だった。
エヴァの美しさに一目で魅かれたのだ。
だが、ブルーノは裏社会に生きる男。売春斡旋を生業にしていた。

厳格なカトリック教徒であるエヴァが、売春婦へと身を落とす。これ以上の屈辱はないはず。
でも、生きるため、妹を助けるために、お金を稼ぐ手段が他にあるのだろうか。

どんなに過酷な運命に翻弄されようと、エヴァは凛として強く美しい。
演じるマリオン・コティヤールは、「世界一美しい女性」と言われている。
ラスト、エヴァと妹マグダにちょっぴり希望の光が見えたのが救いだ。

それに比べて男2人、ブルーノとオーランド(ブルーノのいとこ)の悲劇的な結末といったら。
それもこれも、エヴァの美しさに魅かれたせいだろう。
ずっとエヴァの側にたって観ていたが、最後にうっちゃりを食った気分。
男たちの、なんとも哀れな結末に同情したのだった。
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by masayama-chan | 2014-03-05 15:42 | 映画三昧 | Comments(0)

「ウルフ・オブ・ウォールストリート」   

今週の水曜日、レオの最新作「ウルフ・オブ・ウォールストリート」を観た。

舞台は、世界経済の中心地ニューヨーク・ウォール街。
レオが演じるのは、実在の株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォート。
1980年代後半から90年代半ばにかけてウォール街にその名を轟かせた人物だ。

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貯金もコネも学歴もない男が、生き馬の目を抜くウォール街で、いかにして年収49億円という大富豪にのし上がったか。
その破天荒な生き様は、エキサイティング&クレイジー&ダークで、まぁ開いた口がふさがらない。

とにかくカネ、カネ、カネ。拝金主義もここまでくるか。
貧乏は美しくない。欲望は正しい。カネがあればなんでもできる、なんでも手も入る。富も名声も美しい女も。
アルコールにドラッグにセックスと、やりたい放題。
オフィスでのパーティーに、売春婦や下着姿の楽団やオムツをつけたチンパージーを登場させる狂乱ぶりだ。

巨匠マーティン・スコセッシと、ハリウッドの大スター・レオナルド・ディカプリオにして、なんという下品さ。なんという醜態さ。もちろんR18指定。
もう、「あっぱれ!」としか言いようがありません。

欲望と狂乱の末路が収監でも、「お金で幸せは買えない」みたいなきれいごとで終わってないのは爽快だ。
そして、どんなに下品で醜悪でクレイジーな男を演じても、レオはどこか爽やか。
下品な言葉の応酬やドラッグ、女の裸のオンパレードに、3時間という長さはちょっと疲れましたけどネ。
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by masayama-chan | 2014-02-14 13:39 | 映画三昧 | Comments(0)

「小さいおうち」   

先週の金曜日、府中で「小さいおうち」を観た。
原作は中島京子の直木賞受賞作。山田洋次監督が映像化した。


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寅さんに代表される山田監督の作品はあまり好みじゃないのだが、これはぜひとも観たかった。
なぜなら、「小さいおうち」には、どこか秘密めいた響きがある。


昭和の始め。東京郊外の坂の上に立つ赤い三角屋根の家。一際目を惹くモダンな造りだ。
そこに、東北の田舎から上京した若いタキが女中奉公に入る。
玩具会社重役の旦那さま、奥さまの時子、5歳になるぼっちゃんの恭一。
タキは美しく上品な奥さまに憧れ、ひたすら働く。
穏やかで楽しい日々に狂いが生じるのは、旦那さまの部下で板倉という青年が現れてからだ。
板倉に時子が魅かれていく。

ある日、板倉の下宿を訪れた時子。
その様子を、タキは見逃さない。
出かける時左側にあった帯の柄(線)が、帰って来たときには右側にある。
ふたりの関係が、涙が止まらないほど不安で、胸が締め付けられるほど悲しいのは、時子へのどんな思いからだろう。


時子を松たか子、晩年のタキを倍賞千恵子、若き日のタキを黒木華が演じている。
円熟?老成?の倍賞千恵子、初々しい黒木華、どちらも素晴らしい。
でも、圧倒的な存在感を見せるのは、時子役の松たか子だ。
無邪気で上品で、匂い立つように美しい。そして、背徳の香りがする。

板倉役には吉岡秀隆。
「この配役、ちょっとどうなの?」という気がしないでもない。
なにしろ板倉は、時子が心ときめかす30歳前の若くてカッコイイ男なのだ。

でも、そんなことはどうでもいいくらい、これは3人の女優の映画です。
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by masayama-chan | 2014-02-10 15:28 | 映画三昧 | Comments(4)

「夏の終り」   

昨日、下高井戸シネマで、「夏の終り」を観た。
瀬戸内寂聴が、瀬戸内晴美時代の1962年に発表した小説が原作だ。


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主人公・知子(満島ひかり)は、かつて夫と子供を捨て年下の青年・涼太(綾野剛)と駆け落ちした過去を持つ。
今は、家庭のある年上の作家・慎吾(小林薫)と暮らしている。
慎吾は、妻子のいる家と知子の家を行ったり来たり。律儀に半々ずつ。
8年に及ぶ慎吾とのそんな生活に不満はなかったはずなのに、ある日知子の前に涼太が姿を現したことから、心が乱れていく。

穏やかな年上の男と、激しい感情をぶつける年下の男。
ふたりの男の間で、心揺れる女。
小説は瀬戸内晴美の自伝的要素が濃いという。

慎吾は、やさしく寛容で穏やか。でも優柔不断でずるくもある。
そんな男を小林薫が、この役は彼以外には考えられないほど自然に演じている。
嫉妬に苦しみ激情をむきだしに知子を求める一途な綾野剛もいい。
満島ひかりは、ふたりの男との関係に惑い苦悩する知子を、激しく生々しく好演している。
ただ残念なのは、満島さん、いかにも若過ぎでは。知子は、たぶん40歳くらいの設定のはずだ。
物語は現在と過去が交錯する形で進行するが、見ていて過去か現在か、時々わからなくなる。だって、どちらの満島さん(知子)も若いのだから。

熱さに身を委ねた「夏の終り」は淋しい。でも、終わらせなければ、前には進めない。
爛れた三角関係を描いていても、終わりは案外スッキリだ。
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by masayama-chan | 2014-01-25 17:23 | 映画三昧 | Comments(8)

「永遠の0」   

今日、府中の映画館で「永遠の0」を観た。
実は戦争ものは好みではなく、当初は「ジャッジ!」を観るつもりでいた。
ところが娘に、「そんなくだらないものより(妻夫木クンごめんなさい)、「永遠の0」を観てみたら」と勧められ、急きょ変更。
娘は日曜日に観て、いたく感動したそうだ。


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原作は百田尚樹。累計発行部数350万部を超える大ベストセラーの内容を今更説明する必要もないでしょうが。

主人公・宮部久蔵は零戦パイロット。
操縦技術にかけては天才的だが、敵と戦うより「妻と子のもとへ生きて還る」ことに執着し、臆病者と評されている。
その彼が、終戦直前、特攻に志願したのはなぜ?

とにかく、宮部久蔵を演じる岡田クンがカッコイイ。もう、ずるいくらい人間として素敵な役だ。
去年亡くなった夏八木勲さんをスクリーンで見られたのもよかった。

終盤は、館内のあちらこちらですすり泣く気配がした。
私も、妻と子のもとへ還ることのできなかった宮部久蔵の無念を思い、涙・涙・涙。

ただ一方で、この作品を「愛の物語」として感動していいのだろうかとも思う。そんなものではないはずだ。
私は原作を読んでいないのでなんとも言えないし、うまく説明できないが、底辺にあるのは未来ある若い命を散らさねばならなかった戦争への怒りなのではないのだろうか。
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by masayama-chan | 2014-01-17 22:22 | 映画三昧 | Comments(2)

ローズマリーの赤ちゃん   

昨日(11月25日)、下高井戸シネマで「ローズマリーの赤ちゃん」を観た。

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ロマン・ポランスキー監督によるオカルト・サイコ・ホラー映画としてあまりにも有名だ。

1965年頃のニューヨーク。
マンハッタンの古いアパートに住む主婦(ローズマリー)が、悪魔崇拝者の儀式によって悪魔の子を宿したというショッキングなストーリーだ。

映画が初公開された1968年当時、私はまだ10代だった。怖くて映画館に足を運ぶことなど出来なかった。
確かに、魔族が暮らしていそうな古いアパートも、隣のおせっかいな老夫婦も、怪しげな産婦人科医も、みんな不気味だ。

でも、昨日は全くもって、可笑しいくらい怖くなかった。
すべては不安定な精神状態に陥った妊婦の妄想としか思えない。
一時痩せてやつれてしまったり、隣人が作ったデザートがヘンな味がするのは、悪魔崇拝者の仕業ではなく、たぶん「つわり」のせいだ。
つまり、重症のマタニティーブルーの映画。
と私には思えたけど、原作はどうなんでしょう。
ホントに、ローズマリーは悪魔の子を宿したの?



ローズマリー役のミア・ファロー。
恐怖におののく妊婦役がピッタリ。
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by masayama-chan | 2013-11-26 18:07 | 映画三昧 | Comments(0)

清須会議   

三谷幸喜の最新作「清須会議」を観た。
監督初の時代劇だ。

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織田信長亡き後、織田家後継者と領地配分を決めるために、柴田勝家や羽柴秀吉らが清須に集う。
歴史に疎い私は、この「清須会議」なるものを知らなかったが、「歴史が動いた」と言われるほどの会議だそうだ。

清須会議の出席者は4人。
柴田勝家(役所広司)、羽柴秀吉(大泉洋)、丹羽長秀(小日向文世)、池田恒與(佐藤浩市)
武将たちの駆け引きは、役者たちの演技の見せ所でもある。
演技派揃いだが、中でも秀吉役の大泉洋が魅せる。まぁ、なんともしたたかなことよ。

ただ、「THE有頂天ホテル」や「ザ・マジックアワー」のようには笑えなかった。
館内からも笑い声はほとんど聞こえない。
思いっきり笑いたくて映画館に足を運ぶと、肩透かしを食らう。
そういう意味では不完全燃焼だったが、「清須会議とは、こういうものだったのか」と歴史を学ぶ意味なら、悪くない。


一番印象的だったのが、女優のメイク。
白塗りの顔にお歯黒。磨り落とした眉。一瞬ドキッとする。
鈴木京香のお市さま(凄みに圧倒されます)
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剛力彩芽の松姫(役者揃いの中で素人っぽい演技が際立っていました)
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by masayama-chan | 2013-11-20 16:17 | 映画三昧 | Comments(2)