「愛、アムール」
2013年 03月 12日
「愛、アムール」
感動と言う言葉では言い尽くせない、暗く深く重く、冷徹で真摯で尊厳に溢れた愛の物語だ。
本年度のアカデミー賞外国語映画賞に輝いたのも納得だ。
パリで暮す音楽家の老夫婦が主人公。
ある日、妻に病が襲い、リスクが低いとされる手術を受けるが、失敗。
右半身不随の身に。
「二度と病院には戻さないで」という妻の気持ちを尊重し、夫は自宅で献身的に介護する。
だが、妻の病状は次第に悪化し、心身共に正常さを失っていく。
ひとことで言えば、壮絶な「老老介護物語」だ。究極の愛の物語でもある。
衝撃的な結末と言えるし、予感どおりと言えなくもない。
「人生はかくも長く、素晴らしい」とセリフにあるが、
「人生はかくも残酷で、美しい」
夫役に、「男と女」のジャン=ルイ・トランティニャン。
「暗殺の森」もよかったな。
知的で寡黙でクールで、どこか影があり、座っているだけで絵になる男だった。
そんな彼も、すっかり歳をとった。
髪は薄くなり、皮膚はたるみ、動作は緩慢に。時の流れは残酷だ。
でも、それがなんだろう。
歳を重ねてこその名演だ。
武蔵野館のエレベーターは、愛一色。
by masayama-chan | 2013-03-12 23:15 | Comments(6)
この女優さんの若かりし頃のシーンを見ましたが、とても知的で
きれいな方だったのですね。日本映画にも出演したとか?
この映画、見たいけれどちょっと直視するのが怖いという感じです。
知的な美しさは、今も残っていますね。
昔、「24時間の情事」という広島を舞台にした作品に出たことがあるそうです。そういえば、タイトルは聞いたことがあるような。
二人はあまりにも自然で、演技をしているようには思えませんでした。
父も、この映画の妻と同じような経過をたどった気がします。母は、水を飲ませるのさえ大変でしたもの。
残酷な結末かもしれませんが、不思議と後味は悪くありません。
でも、マサさんの解説を読んだら、やっぱり観たいわ。
かつての父と介護する母の姿を思い出してしまいました。似たような場面があったかなと。
配偶者と子供の思いは違うんですよね。
新宿武蔵野館、まだ間に合いますよ。