「さよなら渓谷」
2013年 06月 28日
今日、新宿武蔵野館で「さよなら渓谷」を観てきた。
原作は、吉田修一の同名小説。
2、3年前に、図書館で借りて読んだ。
吉田修一は好きな作家だけど、その中でも特別に好きな作品だ。
緑豊かな渓谷で幼児の殺害事件が発生し、容疑者として母親が逮捕される。
何年か前、似たような事件が実際にありませんでした?
ただ、この映画の主人公は、隣に住む夫婦(尾崎俊介、かなこ)だ。
事件を取材する週刊誌記者(大森南朋)は、幼児の母親との関係を疑われた俊介(大西信満)の過去を調べ始める。
調査を進めるうちにわかったのは、衝撃の事実!!
尾崎夫妻は、15年前に起きたある事件の加害者と被害者だった。
償いからか、証券マンとしての将来と婚約者との未来を捨て、かなこ(真木よう子)と同居しつつましく暮らす俊介。
俊介を激しく憎み責めながらも、求めずにはいられないかなこ。
目を背けたい過去を思い出させる相手と、ふたりはなぜ一緒にいるのだろう。
かなこは言う。
「私たちは幸せになろうと思って一緒にいるんじゃない」
とにかく重い。ヒリヒリと乾いた痛みが画面から伝わり、胸が苦しいほど。
終盤、かなこは俊介の元を去る。
残された俊介は言う。彼女が去ったのは、このまま二人でいると、
「幸せになりそうだから」、
「でも、きっと探し出しますよ」と。
余韻を残すラストだ。
真木よう子もよかったが、週刊誌記者役の大森南朋はさすがだ。
上半身を鏡に映して見る場面がある。
なんとも、たるんだお腹ですこと!
ブヨブヨとたるんだお腹をスクリーンにさらけ出す役者魂は、実にあっぱれだ!(褒めてます)
by masayama-chan | 2013-06-28 22:23 | Comments(0)