わりなき恋
2013年 08月 18日
著者は大女優・岸恵子。
「10年ぶりに世に問う、衝撃の恋愛小説」(帯より)だそうだ。
成田発パリ行きの飛行機の中から、物語は始まる。
飛行機は当然ながらファーストクラスだが、岸恵子さん、ではなく主人公の伊奈笙子は少々おかんむり。
なぜなら、隣が空席でなかったからだ。
「空を飛んでいるときくらい独りで、黙って、自由な気分でいたい。」
航空会社が気を遣ってくれているのか、これまでの長い年月、隣に人がいたことは二度しかない。だから、がっかりなのである。
なんだかヤな感じ~。
ファーストクラス?それも隣がいるのは嫌?
「いったい何様のつもり?」と思ったけど、岸恵子さんも笙子も、たぶん「何様」なのだろう。
主人公・笙子は、自分の信念を徹底的に貫く、矜持を持った女性として描かれている。
格別な美意識を持った素晴らしい女性なのである。
読みながら、どうしても笙子を岸恵子さんに重ねてしまうので、自画自賛されているようで、あまり気分がよくない。
著者の顔がチラチラと浮かんでは、小説としては成功していないのかもしれない。
恋の相手のモデルとなった人物はいたんでしょうが、小説そのものの男なんて、実際にはいないでしょ。かなり不自然な人物です。
岸さんの願望というか妄想が膨らんで、ああいう男性像が生み出されたのではないのでしょうか。
まぁ、小説だから、いいと言えばいいのだけど。
老年期の恋愛を扱った作品にしては、ずいぶん少女趣味。
そういえば、岸さんのヘアスタイルとか、ファッションも、どこか少女趣味ではありますね。
Tさん、借りておきながら、辛口の感想でスミマセン。
でも、なかなか楽しめましたよ。
ありがとう~。
by masayama-chan | 2013-08-18 21:20 | Comments(4)
逆に、もしマサさんが、「あの本、大好きだわ」なんていう感想を持ったらどうしようかと思っていましたもの。
岸恵子は「私は普通の老女とは違うのよ」と言っているみたいでしたね。
ああいう男性、いるわけないですよね。いたらお目にかかりたいわ。
「ホテルローヤル」はもっと庶民的ですよ。庶民というよりも下層です。でもこちらのほうが共感できるところがありましたね。
半端じゃない酷評で気持ちいいくらい。思わず苦笑しました。
知識や教養を見せつけようとする文章は、あまり品のいいものではありませんよね。
「ホテルローヤル」は、かなり売れているようですよ。
評判がいいようなので、楽しみです。
娘に先に読まれちゃいましたけど。
この年齢になったときにこれほど純粋な気持ちでいられるのか。
色んなことを考えさせられた1冊でした。
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