ホテルローヤル
2013年 08月 24日
話題の、第194回直木賞受賞作だ。
北海道・釧路の湿原を背に建つラブホテル。
ここを舞台にした7つの物語からなる連作短編集である。
第1話「シャッターチャンス」
今は廃墟となったホテルに、カップルが投稿ヌード写真を撮影にやってくる。
「夢と希望」を口にしてシャッターチャンスを押しつけてくる男と、そんな恋人に急速に冷めていく女。
廃墟のホテルを舞台にした話から始まり、一話ごとに時間を遡って行く。
第2話「本日開店」は、貧乏寺を支えるため檀家衆に体を開く住職の妻の話。
第4話「バブルバス」は、生活に追われる主婦の話だ。
必要なくなったお布施を手に、夫をラブホテルに誘う。
「この5千円があれば、5日分の食費になる。息子と娘に新しい服の一枚も買ってあげられる。中華飯店で一人1200円のセットメニューを頼める。一か月分の電気代。あれもこれも」
でも、引き下がれない。
ラブホテルを舞台にしていても、いやらしさは感じない。
登場する人々の生(性)の営みは、哀しくて切なくて、ちょっぴり滑稽で、いとおしい。
そして、女はたくましく、男は情けない。
背景に閉塞感は漂っていても、読後が爽やかなのは、女のしなやかな生命力を感じるせいか。
by masayama-chan | 2013-08-24 21:08 | Comments(6)
ラブホテルのことをかなり綿密に書いているのに、いやらしさがないですよね。
時代がだんだん遡っていくのは、編集者の知恵かもしれませんが、それも良かったと思いましたよ。
芥川賞受賞作品は読みましたか?
早くお返ししなくてはいけないのですが、ジムもこのところさぼりがちでお渡しする機会がなく、スミマセン。
ちなみに、今日は朝、Tラを保育園に送って行って(昨日、娘が夜勤だったので)、そのあと掃除・洗濯に追われました。
朝の短い時間にも、ヤツはけっこう散らかしてくれます。
ラブホテルを舞台にしているけど、いやらしさを感じないのは筆力でしょうか。
芥川賞受賞作の「爪と目」はまだ読んでいないのだけど、夫が毎月購読している文芸春秋に掲載さtれているので、そのうち読もうと思っているの。
マサさんも第4話、バブルバスのあの5000円のくだりに食いつきましたね。 心の奥底の本音に共感できるからでしょうか。
すんなり違和感なく読めて性というより生を見つめた小説ですよね。ちなみに私は今再びの小池真理子に夢中です。
面白かったです♪
夫の愛読書の文芸春秋に芥川賞の作品も掲載されているので読んでみますね。
マンションの図書室?(読まなくなった本を寄贈する)でこの頃は色々と借りて来ては読んでいます。
しかし年齢的か(シニアマンション)老後関連の書籍が実に多いですよ。
でも90歳を過ぎたピアニストやらカメラマンの本もあり興味深く読んでます、あやかりたい(笑)
登場する女性は、みな心根は悪くないのに運からは見放されていますよね。どの話も余韻があって、後味は悪くないです。
小池真理子ですか。
著書はずいぶん読んでいると思うけど、いいなと思うのとつまんないのがありますね。
短編が、私はわりと好きかな。
ずいぶん売れているみたいですものね。
芥川賞受賞作品の「爪と目」は、出だしだけちょっと読みましたが、けっこう怖い話みたいですよ。
選考委員の高樹のぶ子さんは、「私は女性の内向きでネガティブな攻撃性が苦手。文学的評価は他の委員に譲るしかない」と、選評を投げています。
意地悪い女は私も苦手だけど、さとさんはいかが(笑)
意地悪い女は苦手だけど、意地悪い女同志の関係を描いた本は、おもしろいかもしれませんね。