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「55歳からのハローライフ」   

土曜日の夜、NHKで村上龍原作の「55歳からのハローライフ」を放映している。
ドラマと並行して、私は図書館で借りてきた原作を読んでいる。
ドラマは原作にかなり忠実だ。

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面白かったのは、2話の「ペットロス」と、3話の「結婚相談所」(原作では第4話と1話)
どちらも、主人公は女性。

「ペットロス」は、高齢犬を抱える身として他人事ではないと思ったが、意外と心温まる結末だった。
主人公の高巻淑子は、飼い犬の柴犬ボビーに限りない愛情を注いでいる。
定年退職した夫との夫婦関係は冷え切っていて、会話もほとんどない。
そんな淑子に、ボビーは幸せをもたらしてくれたのだ。

ところが、6歳になったボビーは重い心臓病にかかり、診断後一か月ほどで死んでしまう。
懸命に介護した淑子だが、心に空洞ができたような虚しさに囚われる。

でも、これは、愛犬との愛情物語ではない。
ボビーの死は、淑子に一番大切な人の存在を気づかせてくれたのだ。
ボビーを疎ましく扱い「たかが犬じゃないか」と言っていた夫が、ボビーの死に際して目を赤くした。
そして、淑子は知る。夫が自分をとてもよく見ていたことを。自分の気持ちをわかっていてくれたことを。
「どうして私の気持ちがわかったんですか」と聞く妻に、夫は答える。
「夫婦だからだ。何10年いっしょに暮らしていると思っているんだ」


娘はこの本をチラッと読んで、「村上龍も分別くさくなった」と一言。
私は面白く読んだけど、若者はそう感じるか。

by masayama-chan | 2014-07-04 21:27 | Comments(2)

Commented by 紅蓮 at 2014-07-05 21:52 x
私もテレビも見ているし、本もそれより前に読みましたけど、わりと同世代の人の気持ちによりそった本を書ける人だなあと思って、好感がもてましたね。
Commented by 紅蓮さんへ(マサ) at 2014-07-07 15:49 x
村上龍の本はあまり読んだことがないのだけど、作風は変わってきているのかしら。
立場は違うけど、共感する部分がありますね。

テレビで拝見すると、いつもスーツにネクタイ姿です。
きちんとした服装は相手(視聴者も含めて)に対する礼儀だと思うので、案外(というのもなんだけど)常識人かもしれませんね。

「13歳からのハローワーク」は私は読んでいませんが、きっと子供たちの気持ちに寄り添った本なのでしょう。

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