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「シーヴァス」   

昨日、渋谷の映画館で「シーヴァス」を観た。
サブタイトルは、「王子さまになりたかった少年と負け犬だった闘犬の物語」(長い!)

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トルコ東部、広大な自然が拡がるアナトリア地方。
11歳の少年アスランは、体が小さく友だちからは軽く見られている。
学校の学芸会で「白雪姫」を発表することになり、彼は王子さまを演じたかった。
でも、選ばれたのは村長の息子オスマン。白雪姫役は想いをよせる美少女アイシュ。
アスランは面白くない。


ある日、闘犬を目にする。
村長の息子オスマンが飼う闘犬ボゾに敗れ、瀕死の状態の闘犬シーヴァス。
飼い主に見捨てられ置き去りにされた。
アスランは、シーヴァスを介抱し自分の犬にする。

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傷が癒えたシーヴァスは、強さを身につけ、やがてボソとの闘いの場に。

少年と犬とのほのぼのした話を思い描いて映画館に出向くと、裏切られる。
闘犬のシーンは残酷で席を立ちたいほどだ。
闘犬同士がぶつかり噛みつき合い血を流す。
それに、興じる男たち。金も動く。
アスランにしても気弱ないじめられっこではない。
自己主張するし、タバコを吸う(これ、どうなの?)

闘犬の大会を終え帰る車の中で、アスランは言う。
「もうシーヴァスを闘犬に出したくない」
大人は答える。
「闘犬は闘うのが仕事なんだ。ペットじゃない。餌を食うためには闘うんだ」
人間の勝手な理屈だ。許せない!動物虐待だ!私は、闘犬なんて絶対に認めないぞ!(と心の中で叫んでいた)

圧倒的勝者となったシーヴァスを映し出して映画は終わる。
憔悴し、白い毛は血にまみれて。
シーヴァスは、これからも闘い続けるのだろうか。
闘うことを運命づけられた犬の横顔は、たとえ勝利を収めてもどこか哀しい。


久々のユーロスペース。
道順は覚えていたはずなのに、迷いました!

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by masayama-chan | 2015-10-28 19:04 | Comments(2)

Commented by チヒロ at 2015-10-29 18:01 x
う~む、複雑ですね。特に愛犬家の方には見るに堪えない映画のようです。トルコ映画だけに現実味がありますね。民族間紛争やイスラム国の問題・・・映画の制作者は、「強くなければやっていけないのだ」と言いたかったのでしょうか。それとも、マサさんの感想のように、「勝利を収めてもどこか哀しい」と言いたかったのでしょうか・・。
それにしても、映画案内としてパンフに載せられそうなマサさんの名文! いつもながら脱帽です。
Commented by masayama-chan at 2015-10-30 10:19
チヒロさんへ(マサ)

負け犬シーヴァスが強くなっていくことを通して、少年の成長を描きたかったのかもしれませんね。
演じたかった王子さま役を権力者(村長)の息子にとられたアスランも、言うなれば負け犬でしょう。
自分の犬となったシーヴァスが村長家のボソとの闘いに勝って、「借りは返した」と(笑)
それでも子供のアスリンは、大人の男を前にしては力が足りません。
どんな世界にも強い者と弱い者がいる、と制作者は言いたかったのでしょうか。
私には、闘犬の残酷なシーンしか記憶に残りませんが。
とにかく、闘犬はダメです(苦笑)

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