「シーヴァス」
2015年 10月 28日
サブタイトルは、「王子さまになりたかった少年と負け犬だった闘犬の物語」(長い!)
トルコ東部、広大な自然が拡がるアナトリア地方。
11歳の少年アスランは、体が小さく友だちからは軽く見られている。
学校の学芸会で「白雪姫」を発表することになり、彼は王子さまを演じたかった。
でも、選ばれたのは村長の息子オスマン。白雪姫役は想いをよせる美少女アイシュ。
アスランは面白くない。
ある日、闘犬を目にする。
村長の息子オスマンが飼う闘犬ボゾに敗れ、瀕死の状態の闘犬シーヴァス。
飼い主に見捨てられ置き去りにされた。
アスランは、シーヴァスを介抱し自分の犬にする。
傷が癒えたシーヴァスは、強さを身につけ、やがてボソとの闘いの場に。
少年と犬とのほのぼのした話を思い描いて映画館に出向くと、裏切られる。
闘犬のシーンは残酷で席を立ちたいほどだ。
闘犬同士がぶつかり噛みつき合い血を流す。
それに、興じる男たち。金も動く。
アスランにしても気弱ないじめられっこではない。
自己主張するし、タバコを吸う(これ、どうなの?)
闘犬の大会を終え帰る車の中で、アスランは言う。
「もうシーヴァスを闘犬に出したくない」
大人は答える。
「闘犬は闘うのが仕事なんだ。ペットじゃない。餌を食うためには闘うんだ」
人間の勝手な理屈だ。許せない!動物虐待だ!私は、闘犬なんて絶対に認めないぞ!(と心の中で叫んでいた)
圧倒的勝者となったシーヴァスを映し出して映画は終わる。
憔悴し、白い毛は血にまみれて。
シーヴァスは、これからも闘い続けるのだろうか。
闘うことを運命づけられた犬の横顔は、たとえ勝利を収めてもどこか哀しい。
久々のユーロスペース。
道順は覚えていたはずなのに、迷いました!
by masayama-chan | 2015-10-28 19:04 | Comments(2)
それにしても、映画案内としてパンフに載せられそうなマサさんの名文! いつもながら脱帽です。
負け犬シーヴァスが強くなっていくことを通して、少年の成長を描きたかったのかもしれませんね。
演じたかった王子さま役を権力者(村長)の息子にとられたアスランも、言うなれば負け犬でしょう。
自分の犬となったシーヴァスが村長家のボソとの闘いに勝って、「借りは返した」と(笑)
それでも子供のアスリンは、大人の男を前にしては力が足りません。
どんな世界にも強い者と弱い者がいる、と制作者は言いたかったのでしょうか。
私には、闘犬の残酷なシーンしか記憶に残りませんが。
とにかく、闘犬はダメです(苦笑)