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「葛城事件」   

昨日は、久々に新宿バルト9で映画を観た。
新宿バルト9は大規模なシネコンだけれど、大作や話題作ばかりでなく、興業収入が見込めそうもない地味な作品がかかることもある。
そこがよく行く〇〇シネマズとは違うところだ。

昨日観たのは、「葛城事件」

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閑静な住宅地の一角。自宅の塀に描かれた大量の落書きを消している男がいる。
「人殺し」「バカ」「死ね」「ゴミ」
画面が進むうち、男の次男が無差別殺傷事件を起こし死刑判決を受けたことがわかる。

男は、親から受け継いだ金物屋を営む葛城清。
妻と2人の息子に囲まれ、念願のマイホームを建て、思い通りの家庭を築いているはずだった。

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だが、従順で大人しい長男はリストラに会い、それを誰にも言えず、ビルから飛び降りて自死する。
仕事もせず家に引きこもる次男は父親から罵倒され続け、もって行き場のない怒りと憎しみが彼を無差別殺傷事件という異常な行動に駆り立てる。
そして、精神を病んで病院でひっそりと暮らす妻。

「俺がいったい何をした!」と清は言う。
妻子を抑圧し続け、自己中心的な自分の言動が彼らを壊したということに、清は気づかない。

確かに、清は威圧的抑圧的な振る舞いで家族を支配した。
でもこんな父親は、ひと昔前まではよくいなかったか。
彼は彼なりに家族を愛し、家庭を築こうとしたのではないか。
なぜ、ここまで悲劇的な結果になってしまったのか。
鉛のように重い映画だった。


清役の三浦友和の演技に圧倒された。
若いころはさわやかで清潔感にあふれていた彼が、無精ひげを生やし加齢臭が漂う男の役をリアルに演じている。
さわやかさや清潔感はなくなったけど、立派な役者になりましたね。

by masayama-chan | 2016-07-06 17:48 | Comments(0)

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