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「だれかの木琴」   

火曜日、「シネマート新宿」で井上荒野原作の「だれかの木琴」を観た。
先月、テアトル新宿で予告編を観たとき、「絶対に見逃せないわ」と思ったのだ。

「だれかの木琴」_a0108328_1618977.jpg


主人公・小夜子(常盤貴子)は、中学生の娘を持つ平凡な主婦。
郊外に引っ越したばかりの彼女は、初めて入った美容院で髪を切る。
担当したのは、若い美容師・海斗(池松壮亮)。
その日の夜、海斗からのお礼メールが小夜子の携帯に届く。
無視して構わない営業メールなのに、小夜子は丁寧に返信する。
これをきっかけに、小夜子の日常は輝きを放ち始める。

海斗に頻繁にメールを送る小夜子。店にもしょっちゅう足を運び、海斗を指名する。
美容師として指名客を逃したくない海斗だが、小夜子の行動は次第にエスカレートしていく。
海斗との何気ない会話をヒントに海斗のアパートを探し当てた小夜子。少しためらったものの、部屋の呼び鈴を押す。

小夜子は海斗に恋をしているわけではない(と私は思う)。執着しているだけだ。
新築の一戸建て。かわいい娘。家族思いでやさしい夫(勝村政信)。
穏やかで恵まれた生活の中で、なにが小夜子をこうした行動に駆り立てるのだろう。
いや、穏やかで恵まれた生活だからこそだ。何不自由のない平凡な日常に潜む空疎感、虚無感……。
心の隙間を埋めるかのように、小夜子は海斗に執着しストーカー化していく。

これといった事件が起こるわけでもないのに、なぜか怖い。じりじりと怖い。

小夜子の海斗への執着は、やがて終わりを迎える。
これで一件落着かと思いきや、そうはいかないラストも怖い。井上ワールド全開だ。


伊勢丹近くの「シネマート新宿」へは初めて行った。
スクリーンが2つあるが、小さい方のスクリーンで観た。
62席の狭さだ。それでも空席がそこそこあった。いい映画なのに。

by masayama-chan | 2016-09-15 16:21 | Comments(2)

Commented by としちゃん at 2016-09-15 20:10 x
マサさんの好きそうな映画ですね。
女性がストーカーしていくのですね。
常盤貴子はすてきな女優さんだと思いますが、
この映画ではどうだったのでしょう。
Commented by masayama-chan at 2016-09-15 21:39
としちゃんへ(マサ)

そう、私の心に響く映画です。
常盤貴子さんは、すごくきれいでしたよ。ストーカーぶりがちょっと怖いけど、可愛くて滑稽でもある。
夫役の勝村さんもよかったですね。妻をとても大切に思ってはいるけど、他の女性にも手をだしてしまう俗物夫を余すところなく演じています。

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