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カテゴリ:本だな( 26 )   

最近読んだ本   

「月の満ち欠け」佐藤正午

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2017年上期の直木賞受賞作。

「月の満ち欠けのように生と死を繰り返す」話である。

瑠璃という女性が、死んでも何回も生まれ変わる。

母親が妊娠中に、胎内の子が自分は瑠璃だと名乗る声を聴く。

「どうかあたしをもう一度瑠璃として、あなたたちのいる世界に生まれ変わらせてほしい」

ミステリーのようでもあり、ファンタジーのようでもあり、不思議な小説……。

でも、最後の一行を読んだとき、「あ~、これは純愛小説だ」としみじみと思った。

美しく繊細で巧み、とても不思議で、とても素敵な小説だ。



「いるいないみらい」窪美澄

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「いるいない」は、子供のこと。

夫と二人の快適な生活に満足している主婦、妊活を始めたものの時間がないとあせる女性、子供嫌いな独身OLなど、子供をめぐる5つの物語からなっている。

サラリと読めて、つまらなくはない。ただ、どこか既視感がある。

窪美澄はわりと好きな作家でたいていの作品は読んでいるが、佐藤正午の「月の満ち欠け」に比べると、厚みとか豊かさにかけるというか。

「月の満ち欠け」が別格なんですかね。




「つみびと」山田詠美

「森瑤子の帽子」島崎今日子

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「つみびと」は実際に起きた事件をモチーフにしている。

2010年夏、若い母親がマンションの一室に幼い兄妹を置き去りにしたまま遊び歩き、幼子を死に至らしめた「大阪2児置き去り事件」

筆者の筆は母親にどこか優しいが、どんな背景があるにせよ私は共感も同情もできなかった。

灼熱の部屋の中で母親を待ち続け、飢えと渇きの末に死んでいった幼子の描写に胸が締めつけられる思いだった。


「森瑤子の帽子」

家族、作家仲間、友人、知人が森瑤子について語った話をまとめた評伝。

実をいうと、途中までしか読んでいない(^^;)

(読み終える前に返却期限がきてしまったため)

森瑤子のデビューは鮮烈だった。

女心の機微を描いて、多くの女性の共感を得た。

それは、たいていの主婦が陥る不安だったり、焦燥だったり、葛藤だったりする。

「妻であり母であること以外に何者でもない自分へのいら立ち」

「このまま老いていっていいのだろうかという不安」

私も森瑤子ワールドにどっぷりはまった一人だ。

肩パットの入った服、大きな帽子、真っ赤な口紅……。

都会的でゴージャスな佇まいにも、目を奪われた。

でも、作家の五木寛之さんは、こんなふうに語っている。

「ゴージャスでファッショナブルな恰好で現れてもしっくりこなかった。シベリアの農婦を思いだす。手首は太いし、身体もごでっとしていて、生活力があってたくましい。泥臭い野暮な人」

もう、五木さんったら~。

でも、けなしているのではなく、讃えているのだと思う。

また、借りてこようっと。

それから、少し前に朝井リョウの「死にがいを求めて生きているの」も読んだっけ。

感想は、長くなるので割愛!


明日から北海道へ行ってきます~。

美瑛で法事のあと、層雲峡に泊まるとか(予定は人任せ)


by masayama-chan | 2019-10-15 15:00 | 本だな | Comments(4)

最近読んだ本   

だいぶ前に図書館に予約した本が、どどどっと一気に順番が回ってきた。



    「平場の月」 

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「病院だったんだ。昼過ぎだったんだ」

病院の売店で再会した中学時代の同級生のふたり。50歳。

もう若くはない男と女の、王道ともいえる恋愛小説だ。

ラスト3ページ、哀しみが胸にじわじわと押し寄せて涙があふれた。

本を読んで泣いたのは久々な気がする。

ここ数年に読んだ本の中で、一番よかった。

何度も言う。しみじみといい小説だった。



平行して読んだ、「そして、バトンは渡された」と「ひと」

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「そして、バトンは渡された」

母親を事故で早くに失くし、血の繋がらない親の間を渡り歩いて4回も名字が変わった女の子の話である。

森宮優子、
17歳。現在は、3番目の父親・森宮壮介との2人暮らし。

37歳の壮介は、東大卒で一流企業勤務。

最初、17歳の女子高生と37歳の男との間に何かあるのかと疑った(^^;)

だが、予想(?期待?)に反して、壮介はちょっと変わってはいるもののフツーにいい父親で、優子を立派に嫁に出すのである。

巷の評判はいいようだが、私にはとてもつまらなかった"(-""-)"

母親を失くしたのは確かに不幸だが、親となった人たちは誰もがすごい善人。
出来過ぎたストーリーで、しらける。

少女漫画か!

この本は今年の「本屋大賞」を受賞した。

感動も共感もできないのは、私が歳をとりすぎてイジワルだからでしょう(^^;)



「ひと」

両親を亡くして大学を辞めざるを得なかった20歳の青年の話である。

ひとりぼっちになった彼を明日へと導いたのは、一個のコロッケだった……。

「そして、バトンは……」と同じ範疇の小説といえなくもないが、けなげに堅実にまっすぐに生きる青年の姿がすがすがしかった。




こちらは、未読。

返却期限までに時間がない!

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by masayama-chan | 2019-06-24 20:03 | 本だな | Comments(4)

「彼女に関する一ニ章」   

読書は私の数少ない趣味の一つだが、本はたいてい図書館から借りてきて読む。

近くの図書館が改修工事のためしばらく利用できなくなると聞いて、先日まとめて借りてきた。

工事中は返却もできないので、貸出期間も長い。


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一番面白かったのは、中島京子の「彼女に関する一ニ章」

50歳の主婦・宇藤聖子は、ふとしたきっかけで伊藤整の「女性に関する一ニ章」を読み始める。

60年前のナンバーワン、ベストセラーだ。

文豪の女性論に時々突っ込みを入れながら、聖子の日常が綴られていく。

派手なストーリーではないが、聖子のつぶやきには、いちいち共感してばかり。

最後の方に、ひときわ印象的なシーンがある。

聖子は、ひとり息子の彼女から妊娠した事実を告げられる。

学生の彼女は、「産めない。勉強も中途半端だし、結婚もしてないし、お金もないし、無理」と言う。

「無理、無理、無理、無理、ぜったい」と。

聖子は、「案ずるよりなんとかって、言うじゃない」と、一応説得を試みるも、反撃をくらう。

「将来、恨まれたりしないんですかね。こんな世の中になんで産んだんだ、みたいな。この世って、生まれてくるに値するんでしょうか

「ヘッ」

私には息子の彼女はいないが、もし娘に同じことを言われたら、「もちろん値します。産みなさい」って、果たして答えられるだろうか。

地球温暖化が進み日本は亜熱帯化しているし、原発のゴミはたまる一方だし、隣国からなにやら恐ろしいものが飛んでくるし、戦争ができる国になるかもしれないし。

「生まれてくる子供の未来は明るいから産みなさい」なんて無責任なことは、とても言えないなぁ。

話が脱線しましたが、伊藤整「女性に関する一ニ章」の最終章は、
この世は生きるに値するか

おっ、そこに着地させたかったわけですか。
根源的なテーマは、いつの時代も普遍だ。

読書は、やっぱり楽しい。


by masayama-chan | 2017-07-06 20:23 | 本だな | Comments(0)

「蛇行する月」   

最近、図書館で本を借りてきても、読み切らないうちに期限が来て返却することが多い。
面白くないのか、根気がなくなったのか。
でも、この作品は惹きつけられたかのように一晩で一気に読んだ。
桜木紫乃の「蛇行する月」

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「人生の岐路に立つ六人の女の運命を変えたのは、ひとりの女の幸せだった」(帯より)

ひとりの女とは、二十も年上の男と駆け落ちした順子。
六人の女は、順子と高校の図書部仲間だった4人、順子の母親、そして駆け落ち相手の男の妻。
6つの章からなり、1984年から2009年まで、一人一章ずつ時系列に物語が構成されている。


帯にケチをつけるのもなんだが、彼女たちは順子によって運命を変えられたのだろうか。
少なくとも図書部仲間の4人は、自分の力で人生を切り開き、もがき悩みながらも、地に足を着けしっかり生きているふうにみえる。
夫に若い女と駆け落ちされた妻も、凛としてあっぱれだ。
駆け落ちした娘が幸福ではありませんようにと願う順子の母は、ある意味逞しい。
比べて、男たちの情けないことよ。

過酷な運命に晒される順子だが、本人が「しあわせ」と言うのなら、決して不幸ではないのだろう。



おまけの写真。
おととい「ジブリの森」にいって、「トトロ」を買ってもらったそうだ。

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by masayama-chan | 2014-04-11 16:22 | 本だな | Comments(4)

「たとえば君」   

「たとえば君 ガサッと落ち葉すくうように 私をさらって行ってはくれぬか」
   河野裕子 21歳、出会いのころ

娘が図書館から借りてきた「たとえば君」を断りもなしに読んでいる。
2010年に64歳で亡くなった河野裕子さんは、短歌に縁のない私でも知っている有名な歌人だ。

「たとえば君」は、彼女の死後、夫で同じく歌人の永田和宏さんが、お互いを詠んだ歌を選んでまとめたもの。
その数380首。
出会いから別れまで、二人は相手を詠む歌を作り続けた。
サブタイトルは、「四十年の恋歌」

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家庭の日常の中で詠んだはずなのに、ハッとする歌がたくさんある。
たとえば、
「つきつめて思えば誰か分らざるあなたに夜毎の戸を開けて待つ」
「羞(やさ)しさや 君が視界の中に居て身震ふほどに君が唇欲し」
   河野裕子「桜森」より

「抱き寄せて女わがものとなるまでの時間(とき)長きかな窓を打つ雨」
   永田和宏「無限軌道」より
「むこうむきに女尿(ゆまり)す黄の花の揺らげる闇にわれを待たせて」
   永田和宏「やぐるま」より

夫婦なのに、どうしてこんなに切なくて官能的ですらある歌を詠めるのだろう。
夫婦だからか。
「夫婦というのは、ひとことでつき崩れてしまうはかない脆いつながりである。このはかなさを切実に感じるからこそ、関係を大切に必死で守っている」
と、河野さんの文章にある。
「相手が何者なのか、わからない。そのわからなさが、私を駆り立てるのだろう」と。


絶筆
「手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が」
   河野裕子「蝉声」より(口述筆記)



永田さんには、妻亡きあと詠んだ挽歌が100首以上あるとか。
それも、やがて本になって私たちに届けられるでょうか。

******************

明日は、Tラが4月から通うことになる保育園の説明会がある。
娘が仕事なので、代理で出席する。
健康診断があるため、Tラを連れて。
週末は、「たとえば君」とは別世界にいる。

by masayama-chan | 2013-02-22 23:06 | 本だな | Comments(4)

下流の宴   

この夏、林真理子著「下流の宴」が、NHKで放送された。
黒木瞳主演で映像化されたドラマは、面白おかしく、毎週楽しく見ていた。

原作を読んでみようかなぁ~と、図書館へ予約を入れたのは、一月ほど前。
先週貸し出しの順番がやっと回ってきて、今3分の2ほど読み進んだところ。

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48歳の福原由美子は、誇り高き専業主婦である。
自身は地元の国立大学出身。夫は早稲田の理工学部を出て、大手家電メーカーに勤めている。
彼女のなによりの自慢は、10歳のとき亡くなった父親が、医者だったことだ。
自分は医者の娘として、誇り高くきちんと生きるように育てられたと自負している。

そんな彼女の目下の悩みは、中高一貫の高校を中退して、マンキツ(マンガ喫茶)でアルバイトする長男・翔のことだ。
自分の息子が中卒のフリーターなんて、あっていいはずがない。受け入れられるわけがない。
だから言わずにはいられない。
「家庭教師をつけるぐらいのお金はあるから、大検を受けて、どこかの大学に入るのよ」

ところが、一方の翔は、気楽なアルバイト生活から抜け出す気などサラサラなく、その上「結婚したい」と言い出す。
相手は、沖縄の離島出身の22歳の娘。
母親は島で唯一の飲み屋をやっているという、不細工で下品で下流の女だ。
こんな女を結婚相手に選ばなければならないほど、息子は落ちぶれたのか。
この結婚を絶対に許すわけにはいかない。
そもそも由美子に言わせれば、早婚は肉体労働者の習慣なんである。
だから、相手の母親を前にして言ってみせる。
「うちは、主人も私も大学をでています。~~教養のあるちゃんとした家だと、誰にも言えるわ~~沖縄のどっかの島で飲み屋をしているあなたの家とは違うんですよ」


おぉ、なんて嫌な女ですこと~。
でも、由美子の娘の可奈も負けはいない。母親に輪をかけて嫌な女だ。
可奈は内心、中流家庭を気取る母親を見下している。
由美子以上に見栄っ張りで、上昇志向の強い娘だ。
上昇志向が強いといっても、努力してキャリアを目指そうとかいうのではない。
目指すのは、高学歴&高収入、社会的ステータスが高くて上等な男をゲットすること。
自分が努力するよりも、そうした男を夫にした方が、はるかに効率がいいからだ。
可奈がなりたいのは、出張で国際線のビジネスクラスに乗るのではなく、ビジネスクラスで家族旅行に出かける女だ。
外見に磨きをかけ、そのための努力は怠らない。
その計算高さとしたたかさには、恐れ入りました!


あ~、すみません。長くなりました~。
ところで、みなさんの周りにいません?
由美子や可奈のような女が。
というか、彼女たちの思いは、多かれ少なかれ多くの女性の心の奥底に潜んでいるものかも?
実を言えば、由美子の言動に、「なんてイヤな女」と思いつつ、
「そうだ、そうだ」とうなずく部分がいっぱいありましたもんね。
そこが、林さんのうまいところかな。

by masayama-chan | 2011-09-30 16:11 | 本だな | Comments(6)

「とんび」と「くまちゃん」   

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「とんび」と「くまちゃん」
動物園の話じゃありませんよ。
先日図書館で借りてきた本のタイトル。
今同時進行で読んでいる。
どちらを手にとるかは、そのときの気分次第。


「とんび」は重松清著。
「この子は鷹だ。とんびが鷹を生んだのだ――。
いつか息子は、自分の背中を乗り越えるだろう。
額に汗して生きる父の、長い人生の旅路。
魂が涙する、父親物語の最高傑作」(帯より)

帯を読んだだけで、話の内容がだいたい判るでしょ?言うまでなく、父子の愛と絆の物語だ。

重松清の作品はだいたい読んでいて、とても好きな作家の一人だけど、この本を読んで思ったのは、
「ちょっと飽きた」

もちろん、とても素敵なお話です。
父子の愛情が、周りの人々のやさしさが、温かくて切なくて、ホロッとさせられる。
でも、「感動させてあげましょう」という作為が見え隠れして、「もう、いいよ~」と思ってしまうのは、たぶん私だけでしょう(苦笑)

「くまちゃん」のほうは、角田光代サン。
「くまちゃん」は、主人公・苑子がお花見の席で出会った男。
くまのTシャツを着てたので、「くまちゃん」

第一話では苑子は「くまちゃん」にふられるが、第二話では「くまちゃん」がゆりえにふられる。
第三話では、ゆりえが……
というように、失恋の連鎖で構成された連作短篇集。

「みんながふられる小説」なのに、読んでいて悲しくも暗くもない。
本の中とはいえ、人がふられるのは、案外楽しいことかもしれないね(意地悪だよ)

角田さんの本で、私の好きなベストスリーは、
・対岸の彼女
・森に眠る魚
・八日目の蝉

その次の次の次あたりに、ランキングしようか。


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ところで、昨日、銀行へ行った帰り、駅前のGホールの前を通りかかると、こんな看板が。

おぉ、子供たちの出身中学の吹奏楽部による演奏会ではないの♪
始まっていたけど、ちょっと中に入ってみた。



歌劇に、グレンミラー、ビートルズナンバー、アニメ・メドレー。
プロのようにはいかないけど、充分楽しめた。
なにより、子供たちが一生懸命演奏している姿がいい。

最後に、卒業した3年生が前に出て手を繋ぎ、「ベストフレンド」を歌った。
涙をぬぐう生徒もいて、私も泣きそうになった。
次女がこの中学を卒業して、8年になる。

by masayama-chan | 2010-04-01 21:04 | 本だな | Comments(6)

「私の男」   

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おとうさんからは夜の匂いがした。
なにもかもを奪いあう父と娘。
朽ちていく幸福と不幸を描く、衝撃の問題作!」(帯より)

第138回直木賞受賞作「私の男」(桜庭一樹著)を、図書館から借りてきて読んだ。


午後6時過ぎの銀座、並木通り。
「私の男は、ぬすんだ傘をゆっくり広げながら、こちらに歩いてきた。」
こんなふうに、物語は始まる。

「私の男」とは、主人公・腐野花の婚約者・美郎(いいとこのお坊ちゃま!)ではなく、父親の淳悟のことだ。
娘・花、24歳。父親・淳悟、40歳。

花は9歳のときに震災で家族を亡くし、遠縁にあたる淳悟に引き取られた。
「あ~あ、よかった、実の親子じゃなくて」と安堵したのだが、甘かった!!
やがて明らかになる衝撃の事実に凍りつく。
「禁断の愛などという陳腐な言葉では語れない」と誰かが批評してたけど、禁断の愛と言わずして、いったいなんと言うのだろう。

体中の血液が腐って流れ出しそうな、ドロドロな小説だ。
ぞっとするぐらい下劣で、どこか魅力的な作品でもある。
好みは別れるだろうが、ドロドロがお好きな方は、どうぞ~。


こちらは平和なカップル?
誰かさんは、またドッグスペースで寝ちゃったよ。
チェリーのまなざしは、我が子を見守る母親のようでもある。
(目は見えないけどね)
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by masayama-chan | 2010-02-06 20:42 | 本だな | Comments(4)

「優しい音」   

a0108328_16265787.jpg「千波の携帯に、突然「潮風」と名乗る人からメールが送られてきたのは、去年の五月十日の木曜日のことだった」(本文より)

紅蓮さんの新刊、「優しい音」
とっても素敵な話だった♪

「潮風」って誰かな~。少女のように、胸ワクワク。
最後まで飽きさせない。

主人公・長谷川千波は、中学3年生。
図書委員で万年補欠のバスケットボール部員。成績は中くらい。
つねにその他大勢。平均的な生徒。

あれ?誰かに似ている。
そう、中学生時代の私みたいだ。バスケット部員では、もちろんなかったけどね。
可もなく不可もなく、地味で目立たず。担任以外の教師には、なかなか名前を覚えてもらえなかったよ。

だから、千波にせつないほど共感を覚えた。
授業中、答えがわかっても手は挙げられないよね。
大勢の前で発表しなくちゃいけないときは、家で何回も何十回も練習するよね。おんなじ、おんなじ。
休み時間より授業中の方が気楽だと思ったことが、私にも幾度となくあったよ。

ただ、千波は逃げない。苦しくても、辛くても逃げない。私は、どうだっただろう。

心温まる、感動的なエピローグ。
「そうだったのね」と、なんだか嬉しくて口元が緩んだ。

たくさんの小中学生に、ぜひ読んで欲しいなぁ。(注・大人も十分楽しめます)

私と同じように、「自分に似ている」と思う子が、少なからずいるはず。
「ドキドキしても、勇気を出して一歩踏み出してみよう」と、励まされるはず。
「広い荒野にすくっと立つ」ことの意味、その大切さを教えられ、「読んでよかった」と、きっと思えることでしょう。

紅蓮さん、すてきなお話をありがとう~♪

by masayama-chan | 2010-01-23 16:33 | 本だな | Comments(10)

「告白」   

「4歳児、犬に餌をやるためプールに忍び込み、転落死」

中学校のプールで、女教師の一人娘が死んだ。
少し経過した3学期の終業式の日。
亡くなった子供の母親である教師は、担任の生徒たちに学校を辞めると告げる。
なぜ辞めるのか。
「愛美は事故で死んだのではなく、このクラスの生徒に殺されたからです」


a0108328_17533159.jpg図書館に予約しておいた本が、忘れたころになって、やっと巡ってきた。
湊かなえ著「告白」

タイトルどおりに、教師や生徒や母親の「告白」によって本は構成されている。全六章。

第一章「聖職者」は、女教師の告白だ。
彼女は、犯人と確信した少年2人を、終業式の日のHRで教壇から告発する。
警察に言うつもりはないが、自分の手で2人に制裁を加えたと。

この本は、昨年「本屋大賞」を受賞した。
雑誌(「小説推理」)に掲載された第一章~三章に比べて、書き下ろしの第四章~六章は取って付けたような内容だが、まあ、おもしろいことはおもしろい。スラスラ読める。


でもね~、この本が「本屋大賞」とはねぇ~。どうなんだろう?

はっきり言って、後味がよくない。教師も生徒も、歪んでいる。
女教師のとった制裁の手段は、あまりにも卑劣で吐き気を覚えるほど。

「本屋大賞」は、書店の店員が投票で選ぶ賞でしょ。
なら、読者に感動を与えるような、心の琴線に触れるような、何度も読み返したくなるような、上品な本を選んで欲しいものよ。ブツブツ

by masayama-chan | 2010-01-08 18:01 | 本だな | Comments(13)